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やっとこさ傷の具合が安定してきたってのにあんな俊敏な動きできる人間、初めて見たぜ…。


カ「A…っ!た、炭治郎っ」


「大丈夫大丈夫…。炭治郎、苦しい」


炭「俺はAと1秒でも離れるとダメなんだ。俺が俺で居られなくなる」


「何それ怖」


余り変わらない背丈の彼女にぎゅうぎゅう抱きついている竈門は年相応の少年だった。
甘え方を知らないアイツが唯一腹を見せる相手が音柱様の継子・寒河江Aさんだ。


「私まだ完治してな………いだだだだだだ」


炭「どこか痛いのか?!大変だ…!ベッドに横になってくれ!大丈夫だ、俺が看病してあげるからな?」


「何も大丈夫じゃない…。カナヲがいるからいいよ」


カ「そうだよ、炭治郎。…Aなら私が責任を持って診ておくから」


炭「いや!ここは長男である俺が!」


「今それ関係ないね?」


あいにく今は黄色い頭と猪頭のガキはここにはいない。それでも少しばかり賑やかになった病室は何故か煩わしいよりも心地いい空間だ。


炭「……A。生きててくれてありがとうな」


「死ぬわけないじゃん。約束したしね。皆で鬼舞辻無惨を倒すって」


炭「…っ!ああ、そうだな」


俺には眩しいくらいの光景だ。
静かに病室を後にしようと背を向けた。


「待ってください。私達をここに運んでくれたのは皆さんでしたよね。ありがとうございます!皆さんのおかげで生きて帰れました」


新入りの隊士ってこんないい子ばっかなのかよ…!
やめろよお!泣いちゃうだろお!!


「またお世話になっちゃうかもしれないですけど、その時はよろしくお願いしますね………後藤さん」


はわっ………!


後「い、いつでも頼ってください!!!!!!泣」


隠は地味な仕事だ。

だけど俺はこれからも隠である自分に誇りを持って生きていこう。

彼らがいる限り───。






炭「知ってるかA。恋人同士で接吻をすると傷の治りが早くなるらしいぞ」


「何その偏った知識?!なるわけないでしょ!!ちょっと、なんで顔近づけてるの…!」


炭「え?だって俺達、恋仲だろう?」


「頭の治療した方がいいよ!!カナヲ、しのぶさん呼んで!!!」


カ「わ、私も、したい……!Aが早く良くなるなら…!」


「いや貴女人の言うこと鵜呑みにし過ぎだからね?!やめっ、後藤さん、助けてっ、ア"ー!」


俺は、何も、見てない。

黄色の君→←とある隠の話



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作者名:アマネム | 作成日時:2023年10月14日 19時

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