いっつもそう ページ18
-ユウside-
やっとの思いで中庭までラギー先輩を追いかけてきたけども、私の隣にはオンボロ寮の寮長で私の親友の姿はなく、彼女の代わりにヨハンナの使い魔がお行儀よく私のそばでお座りをしていた。
「もう……いっつもそうなんだから……」
"エースやデュースと変わらないよ"と口から零れた言葉を聞き取ったのか、ユリアが私の足に擦り寄ってくれた。
ユリアと先に行ってしまっていたエース、デュース、グリムに何とか合流した所、いきなりラギー先輩に煽られた。
ラギー「シシシッ!3人がかりでそんなもんッスかぁ?大したことないッスねぇ」
エース「ぜー、はー、な、なんなのアイツ!?めちゃくちゃすばしっこい!ヨハンナかよ!」
デュース「はぁ、ヨハンナと同じで、ただ足が速い、というより、はぁ、高低差を飛び越える能力が尋常じゃないな」
《なんで2人ともヨハンナの足が速いって知ってるんだろう……ていうか、いつヨハンナと追いかけっこしたんだろう……》
グリム「ふなぁあぁ……オレ様でも追い付けないなんて……」
ラギー「シシシッ!こんなんスラムの裏道に比べたら余裕ッスよ。つかさぁ、もしここでオレを捕まえたってアンタらオレを犯人だって言い切れなくないッスか?」
デュース「なんだと?」
ラギー「だって、オレが怪我させたって証拠、ないッスよね。誰かオレが魔法使ってるとこ見たんスか?そんで、それ写真に撮ったりしたんスか?してないッスよね?」
ラギー先輩が言っている事はぐうの音も出ない程に的確で私達にとってとても痛いところだった。
エース「うぐっ……そ、それは」
ユウ「た、確かに……でも卑怯な……」
ラギー「卑怯者?褒め言葉ッスわ」
私の呟いた小さな言葉に、ラギー先輩はニヤリと笑って返した。
そんなラギー先輩を捕まえる事は、事件を解決する事は不可能なのかも知れないと思ってしまう程、絶対に捕まらない事を確信している様な自信に満ち溢れた顔だった。
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作者名:いもけんぴ星人 | 作成日時:2021年4月12日 20時