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どきどきしながら、玄関のドア前で前髪を整える。大きく深呼吸をしてから、恐る恐るインターホンを鳴らした。数秒間の後に、機械音声風になった彼の声が聞こえる。
「はーい」
「しゃーけ！いーれて！」
「はーい今開ける」
すぐにドアの向こうから、彼が顔を覗かせた。しぶしぶといった様子でドアを開け、文句言うなよ、と再度念を押された。
見てみると、お世辞にも綺麗とは言えない部屋だった。それでも、想定していたよりもずっとマシであったため、若干拍子抜けする。
「思ってたよりも綺麗だね」
「逆にどんなゴミ屋敷想像されてたんだよ…」
「うーん…ゴミ袋がその辺に散乱してるくらいかな…」
「そこまで生活力皆無じゃねえし」
不満そうなしゃけにごめんね、と言いながら、ぐるっと部屋を見渡した。確かに、服やレジ袋などは床にほったらかされているが、ゴミが散らかっている感じはしない。思っていたよりもすぐに片付けは終わりそうだ。
ひとまず、会話をしながら適当な服に着替え終わっていたしゃけを連れて、近くのスーパーへと向かう。作り置きができるように、少々余裕を持たせて食料を購入した。アイスのおねだりも忘れずに。
家に帰ってから、休憩がてら、2人でアイスを頬張った。つかの間の幸せを味わって、一緒に部屋の掃除から取りかかる。
「このお洋服はどこにしまうの？」
「えー…その辺…」
「もう！そんなんだから汚くなっちゃうんでしょ！今決めて！」
「じゃあ…そのクローゼットの1番下」
わいわいと騒ぎながら、床に散らばっているものを整理して、掃除機もしっかりとかけた。見違えるほど綺麗になった部屋を前にして、達成感から思わず得意げな顔になる。しゃけもしゃけで、久々に見る面積の床に目を丸くしていた。
「俺ん家、こんなに床あったんだな…」
「これから定期的に来てもいい？結構お掃除楽しかった」
「アリだな…Aにも会えるし…」
「うっ…」
完全に油断していた時に可愛いことを言われ、頬に熱が集まっていくのが分かる。恥ずかしさから、ぺちぺちと頬を叩いて、わざといつもより大きめの声を出した。
「さ！次はお料理！ご飯！しゃけも手伝ってくれる？」
「なるべく頑張る」
しゃけが普段料理をしないことは知っているが、本人的には全くできないわけではないらしい。1人で料理をするのは寂しかったから、しゃけにも手伝ってもらうことにした。
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作者名：ピースラワー | 作成日時：2024年4月14日 19時
