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口約束 ページ13

三郎side





『…私ね昔は歌手目指してたの』



昔と言っても二、三年前なんだけど。



そこで言葉を切るA姉。



きっと口に出すことも辛いような話なのだろう。



「…」



僕は黙って聞く



『…あの日。私が病気だって分かった日にね隼颯は私に言ったの。"明日俺に向かって歌ってくれ"って』



『私の病気は運命の人に向かって歌わなきゃいいけないから、病気を治すために。…そう約束してくれたのに』



『次の日、時間になっても隼颯は来なかった。そこからずっと、ずっと探してるの。』



「…そう、だったんですか。」



『今思えばおかしい、よね』



そう言うA姉は苦い顔で笑う



『…信じた自分が情けない。』



「でも、A姉はここまで戦ってきたじゃないですか!!」



思わず僕は声を張り上げて言う



「…それだけで、充分強い人ですよ。」



『…そうなのかな。』



「そうですよ!…今からでも遅くありません。」




「運命の人探しましょう。」



「僕も、微力ながら頑張るので!」



そんな顔しないでくださいよ。




『…そうだよね。形はなんであれ進まなきゃ行けないよね。』



A姉は強い人だ。今もきっと強がってる。



「…っいち兄も二郎も心配してました。落ち着いたら帰りませんか。」



『…そうだね。そうしよっか』



『先に行っててくれないかな?…私はもう少ししたら行くから』



ニコリと微笑む彼女に胸が締め付けられる



「…分かりました!早く帰ってきて下さいね!」



出来るだけ明るく振る舞って手を振りA姉と別れる



『…でも。』



『そんな、簡単に忘れられないんだよね』



小さな小さな声で言ったA姉の声は僕には聞こえなかった。



サーッと風が吹き彼女の髪の毛が揺れる



「…A姉。」



僕が出来るのはここまで。



二郎、あとはお前が。






Aside





『三郎くんのおかげで、ちょっと元気出たな』



自分にしか出来ないこと、か。



私はあの三人に何が出来るんだろう。



三郎くんと別れたあと私は一人、公園に咲く桜を見つめていた



『…』



『二郎、くん。』



そう言えば少し前にもここに来たな。
一人になってから考えるのは二郎くんの事ばかりで、でもこれが"好き"って気持ちなのかって聞かれると正直分からなかった。



でも今はただ、



『会いたい。』



二郎くんに会いたい。



そう思ったその瞬間私は駅に向かって走り始めていた。

ただその気持ちだけで→←裏方でいい。



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(プロフ) - シャルさん» ご指摘ありがとうございます!!訂正させていただきました。こちらこそ読んでいただいて嬉しい限りです!!ありがとうございます。 (2019年3月29日 0時) (レス) id: 6c48c3ca2f (このIDを非表示/違反報告)
シャル - 細かいかもしれないんですけど、あくまでが悪魔になっていました。間違ってたらごめんなさい! 今回も面白かったです!更新ありがとうございます! (2019年3月28日 23時) (レス) id: 0ad92d1aab (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - シャルさん» 暖かいコメントありがとうございます!!私の書きたいことが伝わっていたようで安心しました(泣)コメントを励みに頑張りたいと思います!ありがとうございます。 (2019年3月28日 0時) (レス) id: 6c48c3ca2f (このIDを非表示/違反報告)
シャル - とても感動しました!二郎の思いが複雑で私も胸が締め付けられました! 大好きです!更新楽しみにしています!頑張ってください (2019年3月27日 23時) (レス) id: 0ad92d1aab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月15日 21時

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