ヒプマイ短編集2

偶然って言葉じゃなく【飴村乱数】 ページ35

飴村乱数



｢んー！｣



大きく伸びをし、窓を開けて早朝の空気を肺一杯に吸い込む



｢いい朝だなー♪｣



最近はバトルの方でも仕事の方でも忙しく今日が久しぶりの休みの日だった



せっかく早く起きたんだし散歩でも行こうと思いソファーで腹を出して寝ている帝統に



｢ちょっと散歩行ってくるね〜｣



と一応声をかけて事務所を出る



帝｢…まて〜俺の…｣



外の空気は澄んでいて。こういう天気の時はあの子を思い出す



｢…どこ行ったんだろうな｣



しばらくシブヤの街を歩く



早朝だから人も少なくていい気持ちだったのに



目の前で絡まれている女の子を見つける



男｢君、今一人？｣



『えっ？』



男｢暇なら一緒にこない？｣



女の子は戸惑っている結構しつこそうだな〜



気のせいかその女の子を見たことがある気がした



男｢な？いいだろ？｣



『っいた…』



手首を捕まれ連れたいかれそうになる



僕はサッと女の子に近づく



｢ごっめーん！おねーさん待った〜？｣



『…っえ？』



｢じゃあ、いこ？ぜーんぜんいないから探しちゃったよ〜｣



男｢おい、コラ待てよ。｣



言い終わる前に女の子に向かって拳を振り上げる男



ﾊﾞｷｯ



｢いった…｣



ｷﾞｭｯと抱きしめて庇う



『あ…』



そして女の子の耳を塞いで聞こえないようにして僕は言う



｢…ってぇな。殺されたいのかなぁ｣



男｢っ…｣



ﾀｯﾀｯ…



あまりの気迫に男が逃げ出す



僕はこの子の正体に気づいてた



｢…じゃあ行こっ！｣



『あの、らむ、だ？』



｢んー？｣



『ありがとう。』



｢…うん。｣



A久しぶりだね。いつ以来かな



｢なんで僕達の前からいなくなったの？｣



『…』



｢黙ってちゃ何もわかんないよ。｣



私の両手を握り決めて言う乱数は泣きそうだ



『…ごめんね。』



私は涙が出てきた



『みんなの足を引っ張るのが、怖くて。逃げて…気づいた、時にはもう、っ戻れなくて。』



｢…僕達は解散しちゃったしもうTDDってグループはないけどさ。｣



ゆっくり私を抱きしめて言う



｢Aの居場所はまだあるよ？｣



『…っう、ん』



子供っぽく泣いているA。



｢ごめんね。気づいてあげれられなくて。｣



『乱数…。』



｢も〜！泣かないんだよっ？Aの笑う顔がみたいな？｣



そう言うと花のように笑ってくれる



｢これからは｣













｢僕の隣で笑ってて。｣

偶然って言葉じゃなく【神宮寺寂雷】→←偶然って言葉じゃなく【碧棺左馬刻】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す