ヒプマイ短編集2

偶然って言葉じゃなく【碧棺左馬刻】 ページ34

碧棺左馬刻



｢…ｯﾁそいつ片付けとけ｣



イライラする



別に取引が上手くいかなかったわけでもなんでもねぇのに。



無性にイライラする



｢…んだこれ。｣



部下｢左馬刻さん。車の準備が。｣



｢今日は歩いて帰るって言っただろうが｣



部下｢…っすいませんでした｣



｢…｣



しばらく治安の悪い道を歩くと男女二人組の会話が耳に届いた



『…なしてください。』



男｢あの時の失敗揉み消してあげたの誰だっけ？｣



『…先輩です。』



『だけど私は揉み消してなんて言ってません。』



帽子を深くかぶった女は必死に抵抗している



なんとも胸糞悪い話だ



｢…おい｣



ぶっ飛ばそうと思って声をかけた瞬間俺は思わず吸っていた煙草を落とした



男｢ねぇ。ちょっと考えれば分かるよね？？僕は君を助けてあげたの。その対価支払ってもらわないとさー｣



男｢ね？Aちゃん｣



『そんな…』



ﾋﾟｸｯ



聞き覚えのある名前に体が反応する



｢A？｣



小さく呟き



その瞬間怒りがくる



煙草を踏み潰して消し男の胸ぐらを掴む



｢おい、誰の女に手ぇ出してると思ってんだ？あ"ぁ？｣



男｢ひっ…｣



『えっ』



ﾄﾞﾝｯと壁に男を押し付ける



｢てめぇのした事勝手に押し付けて女脅してんじゃねぇよ｣



男｢は、はい。｣



ﾊﾞｷｯ



男｢ぐっ….｣



一発男を殴るとのびた



Aに向き合う



｢おい、帽子とれ。｣



『…』



『左馬刻さん。』



左馬刻さんが私を抱きしめる



『TDDのみんなが、大変な時に。私は何も出来なくて。情けなくて…！！！』



泣きじゃくる私の髪の毛にキスを一つ落とす



｢…おう。｣



｢あいつらも、俺も。お前が居なきゃダメなんだよ。｣



なんでわかんねぇんだダボ



そう言う彼の声はとても辛そうだった



『…っうん。』



私は左馬刻さんの煙草と香水が入り交じったこの匂いが好きだった



抱きしめ返すとより一層強く抱きしめられる



『助けてくれてありがとう。』



｢当たり前だろうが。俺様の恋人なんだからよ｣



ﾌｯと鼻で笑ったように言う彼は最高にかっこいい



そして煙草をふかしながら彼は言うんだ
















｢…もう一生離れんじゃねぇぞ。｣

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