ヒプマイ短編集2

人魚姫症【神宮寺寂雷】 ページ17

寂雷先生も書くの初めてです(緊張)
今回の洸くんは悪者です

人魚姫症

足が動かなくなる
そのうち声もなくなる
最後は泡になって消える
両思いになると治る

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神宮寺寂雷





一ヶ月前私は見てしまった



洸さんと女の人がキスをしている所を



私たち付き合ってたんじゃないの？



--- 新宿中央病院 ---



｢病気の進行状況はどうかな？｣



＿＿＿声が出ません




｢…成程。失礼なことを聞くようだけどその男性とは上手くいっていないのかな？｣



＿＿＿はい。



上手くいっているわけがない。あんな所をみたら。



あの現場を見てから私は"人魚姫病"という病気にかかった



｢そうか。酷なことを聞いてしまったね｣



すまない。そう言って先生は少し悲しそうに謝る




先生は優しい



＿＿＿いえいえ！大丈夫です。



できるだけ明るく振る舞う



洸さんは病気のことを知らない



声が出なくなったのは適当な理由をつけて誤魔化した



その間も私の"好き"は高まって



その分病気は進行していく



＿＿＿ありがとうございました



病院をでてボーッと歩く。



どこまでも広がる青空に吸い込まれて。
いっそ帰って来れなきゃいいのになんて考えたりした



--- 半月後 ---



洸｢愛してる｣



上辺だけの愛を並べて



本物じゃないことは分かってた
言われたって私の病気は治らないもの



それでも別れを告げられないのは貴方が好きだから



私の病気はますます進行し最近は足が重い



でも先生に少しは運動しないといけないと言われたので大好きな桜の木がある公園に一緒に行くことにした



ﾋﾟﾛﾘﾝ♪



彼の携帯が鳴る



洸｢ごめん、電話してくる｣



私は微笑んで手を振る



＿＿いってらっしゃい



しばらく中央に立っている一本の桜の木を見上げていると




｢やぁ。佐藤さん｣



先生の声がした



｢今は何を？｣



＿＿彼を待ってるんです



その時私の携帯が鳴る



＿＿ごめん、用事が出来たから先帰ってて。ほんとごめんな。



女の人の所に行くんだろうなと直感的に感じた



所詮そんなものなのだ私なんて



涙を堪え今できる限りの笑顔で先生に1枚の紙を渡す



＿＿＿なんだか用事があったみたいです！
先に帰りますね。さようなら



｢…待ってくれないか｣



先生が私の手を掴んだ

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