天寿をまっとうしたいので【夏油傑】

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夏油傑から離れるのは中学卒業と決めて以来、記憶を取り戻す前と変わらず普通に過ごしていた。
学校で遊具で遊んだり、家でファミコンしたり、特には家族ぐるみで出かけたりと何気に楽しい日々。
今日は夏油家と水族館に来ていた。




「A！！ 見てよ、凄いデカい魚！」


『うん、大っきいねー』




見ろよ、コレがアレになるんだぜ？？信じられるか？？
純粋ピュアピュア笑顔を向けている少年が、後に同期の美少女にクズと呼ばれ、挙句には教祖となる。
世の中って不思議ですわー。




「っ……」



『どうしたの？』



「あそこ……いる」




彼が指さす方向…トンネルの方を向くが、何も見えない。
多分というか、確実に彼が指さす所には呪霊がいるのだろう。
読者だった時は、絵として見えていたけど現実になれば見えなくなるのは気持ちとしては微妙なところ。


そして彼は私に対して、呪霊が見えると打ち明けている。
まあ私からすると信じるも信じないも呪霊という存在を知っているから彼の言っている事も分かるのだ。




『私には何が居るのか分からないけど…見えなきゃ、居ないのも一緒だよ。ほら、目を閉じて』


「…！」





私は手を繋いで彼が指さした方を、手を繋いですり抜ける。
原作でも禪院真希が禪院真依に言っていた。
呪霊が見えている人からすれば、目が合ってしまうけど見えない人からすれば何も分からない。

それと同じで目を閉じていれば何も分からない。





『変なもの、いる？』



「…ううん、通り過ぎたからもう居ないよ。ありがとう、A」



『いいんだよ、別に。お母さん達に置いてかれちゃうから急ごう』



「うんっ」








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