2__夢への一歩 ページ5
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高校に入り、俺は二人を支えられるようなトレーナーになるため一生懸命勉強をして努力していた。
高校に入った頃は周りに知り合いは居なくて、かなり寂しい状況だったが、入学初日にクラスメイトと勇気を振り絞って話してみたら経った一ヶ月でクラスメイトどころか一年生全員と仲良くなり、しまいには先輩との仲も良好という漫画でしか有り得ないと思っていた充実した高校生活を送っていた。
わあ、俺今すっごい青春してる。
もしや神は俺からサッカーの才能を奪った代わりに圧倒的なコミュ力を俺に授けたのでは…??
それしかないだろ。
「なあ、糸師! これってお前の弟だよな?」
「んー?」
月日は流れあっという間に高校三年生になり、進路について考えていると友人がスマホを弄りながら俺の前に画面を向けるとそこにはウェブニュースで『天才 糸師 冴、レ・アール入団』とデカデカとした見出しに、冴がサッカーをしている写真が載っている記事があった。
「うん、そうだよ」
「あ、その反応は知ってた感じか?」
「いち早く俺に教えてくれたな」
この間、久しぶりに冴から連絡があり電話に出るとなんとスペインの強豪チームの下部組織にスカウトされたという話しだった。
「冴凄いじゃん! 夢への第一歩だな」
『うん』
いつものように真顔で言っているのかもしれないけど、通話越しでも分かるその声はどこか嬉しそうな声をしていた。
もちろん渡西する日は俺も空港に行って見送る予定だ。
「でもすげーな、お前の弟。冷はサッカーだめだめなのにな」
「末っ子くんもサッカー上手なんだろ?」
「最早月とスッポン」
「なに、俺の事嫌いなの??」
「いや、例えお前がどれだけサッカーが下手だろうと、俺はお前のことをずっと愛してる」
「イタチっぽく言うな」
俺がサッカーがド下手くそなのは認めよう。
というか自分でも既に認めてる。
「でも俺が下手くそで弟達とサッカーが出来なくてフィールド上に立てなくても、形は違えど傍で支えられるような兄になりたいんだ」
MFのようにFWをサポートしてパスを出すような芸当は俺には絶対に無理だけど、スポーツトレーナーになって二人が万全の状態でプレー出来るようにしたい。
それを想像しながらふっ、と笑みを零すと友人に肩を掴まれた。
「お前その顔、女子の前でするのやめろよ。死人が出る」
「死人とは??」
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ARy - 好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きすき家。死んでいいですか (2023年4月30日 21時) (レス) @page16 id: 20866609ad (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 2コメ失礼します!!イメ画めちゃsukiです…カッコかわいい… (2023年3月22日 20時) (レス) id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - 「イタチっぽく言うな」がすっごく好きです‼ 面白そうな作品を見ると、大体Yuri様の作品でびっくりしていますw これからも応援しています‼ (2023年3月12日 14時) (レス) @page5 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
古鳥 - ハワワ…設定も文章もすっごく好きです!!イメ画もお上手ですね!コミュ強のお兄ちゃん、もしかするとブルーロックにトレーナーとして推薦が来たりするのでしょうか!?続きを正座待機!!! (2023年3月9日 23時) (レス) @page11 id: f74057ae4d (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ餅 - 死人三号DAZE☆ イメ画うめぇ、これからも更新待っときます✨ (2023年3月7日 22時) (レス) id: 366c5c0809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雄里 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2023年3月3日 21時