◇─16. ページ16
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レギュラーを決める三次選考が終わり、今は絵心がレギュラーメンバーを真剣に決めている。
幸も傍からどのようなメンバーになるのか見守っていると、ウィーンと自動ドアが開く音がし、アンリが入ってきた。
「決まりましたか、絵心さん…？」
「…うん、『船頭多くして船山に登る』だよ。アンリちゃん」
「へ？」
「指図する人が多過ぎるとかえって統率がとれず意に反した方向に物事が進んで行くことの意味です。つまり…」
「勝つために…切り捨てられる才能もあるって事だ」
皆が皆、強い個性と実力を持つストライカー達。
その中から全体のバランスが良く、それでいてU-20に勝つためのエゴイスト達が選ばれる。
レギュラーメンバー、それとベンチメンバーが決まり次第幸は直ぐにでも何億通りもの戦術を考えなければならない。
ギュッと制服の裾を握ると、隣にいたアンリの胸ポケットに入っていたスマホに着信が届いた。
「……お電話です！ 絵心さん！」
「誰？ こんなクソインポータントな時に」
「不乱蔦会長からです…！」
「……」
絵心はアンリからスマホを貰い、スピーカーモードにしてから不機嫌な事を隠さず電話に応答した。
そして不乱蔦が言ってきた内容にその場に居た全員が驚愕した。
『どうやら糸師冴がU-20日本代表のFWに不満を持ってるらしくてねぇ…今から糸師冴の言っていた条件を呑まないと集客の見込めない試合は中止になって、そのまま”青い監獄”は消滅する！』
「…！」
「なるほどな……で、糸師冴はなんと言った？」
『条件はただ一つ。”青い監獄”から一人。糸師冴の望む人間をU-20代表に加えることだ』
「青い監獄から…一人を…！？」
「そうきたか…糸師冴。それで、誰を望んだ？」
『彼が言うに────…そう、士道龍聖という名の選手だ』
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作者名：Yuri
| 作者ホームページ：https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時：2023年1月10日 21時
