◇─12. ページ12
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オニごっこが終了し、吉良が絵心や周りに向けて怒声を喚き散らしていたが、絵心の発言により玉砕していた。
そんな中、アンリはチームZの結果に驚いていた。
「ほ、本当に幸ちゃんが言った通りになった…」
「いやいやアンリちゃん。紲為の実力はこんなものじゃない。言ってただろ。自分が読んだ通りに動き、手中に収まるものだと」
「え？」
絵心は幸について一つ知っていたことがある。
以前幸はとあるサッカーチームに助言がした事があった。
当時はまだ小学生の幸の指示に不満があったが、信じて試合をしてみればどうだろう。
幸が伝えた事が的中した。
例を挙げるならば、幸は試合が始まる前にAがボールを保持し走っていると敵Bが立ち塞がるが、股下からパスを出せと言った。
Aはそれに半信半疑ながらもボールを保持して走っていると、本当に敵BがAの前に現れた。
そして指示通りに股下から誰も居ないところにパスを出すと突然現れた味方Cの足に吸い付くようにパスが通った。
「幸はAの他にCにも、いや味方の選手全員に先読みした結果を伝えた。結果が出たということは、その試合はもう幸の掌の上だ」
「え、つまり幸ちゃんは敵の心理、癖、行動パターンを全て把握して計算。味方がスムーズに、それでいて確実に自分にあたる選手、ボールの軌道、スピードを見出したって事ですか…？！ 小学生でそれは流石に」
「馬鹿げている、だろ？ だけど紲為はそれを現実で可能にできる脳ミソがある。生まれながらにしての天才、いや鬼才の領域。
だけど流石に一つのパターンじゃダメだろう。
多分アイツの頭の中で何十本通りもの、いやそれ以上の戦術をシュミレーションし、結果を出した。 しかも小学生でありながらだ！！ 世の中にこれほどの頭脳を持った人間は数人程度しか居ないだろう」
もし、幸がサッカーの才能があったらそれこそヤバかっただろう。
絵心が”神の視点”と称している頭脳を活かしながらプレイをしたら…考えるだけでも恐ろしい結果だ。
「もしも、もしも選手が幸ちゃんの作戦通りではない動きを取ったら」
「いや、それも全て計算の範囲内だ。一人が反抗心で作戦とは違う行動を取ろうと、既に状況は出来上がっている。 結局幸の掌の上で踊らされる───が、世界一のストライカーになるのなら、その作戦さえ自分のものにするエゴイストが必要なんだよ」
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作者名：Yuri
| 作者ホームページ：https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時：2023年1月10日 21時
