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足し算和牛川西ページ1

川西side

近所にコンビニが出来た。

と言っても、3ヶ月前ぐらいやけど。
ここ最近は、仕事が立て続けに入って、家と現場を行き来するだけの生活だったからなかなか寄れへんでいた。

ちょうど煙草も切れた事だし、寄ってみよう。

ﾃｨﾛﾘﾝ♪

『いらっしゃいませー』

聞きなれた某チェーン店の入店音と共に聞こえてきたなんともやる気のない声。

今は金曜日のPM11:30。
まぁ、わからんくもないけどな。

てきとうに店内を見回って、缶ビールとつまみを持ってレジに向かう。

川西「〇〇番ください」

・

・

・

ん？聞こえてへんかった？

川西「あの、〇〇ば…ﾄﾞﾝｯﾊﾞﾀﾊﾞﾀｶﾞｼｬ!!

目の前で店員さんが崩れ落ちた。

『す、す、すんません！なんでもないです！ほんとになんでもないです。はい。えっと△△番でしたっけ？』

川西「いや、〇〇番…」

『あっ…はい！すんません！はい！合計1100円になります！』

それからバタバタ言わせながら、レジを打って食い気味に言われた『ありがとうございました！』。

感が鈍くはない俺はコンビニを出る振りをしながら、頭を抱えているあの店員の独り言に聞き耳を立てた。

『びっっっくりした…あれ絶対川西さんよな…なんでこんなとこおるん…』

ほら、ビンゴ。

面白い子やなぁ。
そう思いながら、店を出た。

それからというもの、あの店員さんの反応が見たくて、確信には触れずに毎週金曜日のPM11:30にコンビニに行くのが日課となっていた。

品出しをしとる横でわざと商品を選んだり…

ｶﾞｼｬｶﾞｼｬﾝ!!

『い、いらっしゃいませぇぇ…』

商品落としそうになってたけど笑

またある日は油断したのかピザまんを食べてる時に…

『ﾌｶﾞｯ!…いらっしゃいまふぇ』

せっかく食べてたピザまん落としてたなぁ笑

でもその店員さんは何度も何度も行っても、俺に話しかけてはこなかった。

なんでやろ。

なんで話しかけに来てくれんのやろ。

俺のファンと違ったか。

俺の早とちりやったか。

通いだしてもう2ヶ月がすぎた頃、毎回面白い反応が見れるという優越感が勘違いかもしれないという不安に押しつぶされそうになっていた。