茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ8)

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55話ページ8

夜も更けた頃、ヴィル・シェーンハイトは廊下を歩いていた。

「本当にいたのね、アンタたちみたいな恥知らずが」

侵入するなら窓かドアとアタリをつけてユニーク魔法をかけておいてよかったわ。
じゃなきゃ、リリアに守ると宣言しておきながらAを誘拐されるところだった。

「言いなさい、この部屋の子になんの用？」

「……知らないかもしれないが、こいつは…、妖精だ。オークションで売れば高値が着く」

「知ってるわ。……でもね、この子はナイトレイブンカレッジの生徒よ？誘拐なんてしたらどうなるか分からないのかしら？」

「誘拐として成立するのは法律を採用してる国だけだ。サイハテの街まで連れていけば俺たちは無罪なんだよ」

廊下に倒れ込んだヤツらはおそらく蛮族と言われるサイハテ出身のヤツら。……聞いたことある。父と旅した時でも避けてきた街。法も秩序もない、未だに他種族を家畜扱いしてる嫌な国。人として信じられない。

「アンタたち、手を出した相手が悪かったわね。あの子はアタシの妖精よ」

四の五の言わさずに魔法警察へ引き渡してやる。そうすれば映像石で証拠も見れるし、真実を聞き出す魔法を使える人もいるからしばらく檻の生活ね。

まったく、リリアの話を八割冗談と思ってたけど……まさか……ね。