21人目の魔法使い〜フィガロルート〜 (ページ13)

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「お姉さんとの再会は楽しかった？」

「はい！……お姉様、本当は義弟との結婚の予定だったそうです。次期国王になるであろう西の国の王子……でも今回私が告発したことで婚約は解消となってずっと好きだった方と夏に結婚なさるそうなんです！」

「それは良かったね、貴族の娘は結婚すらも義務だから。……アーサーやヒースクリフもそういう辛い婚約をされなきゃいいけど……もちろん君もね」

「私は自分で選んでますから！ね、フィガロ先生！」

じっと俺を見て訴えてくる。
それをハイハイと流して部屋を出るが先生と寝ると聞かず結局俺の根負けでAはベッドに潜り込んだ。

その寝顔を見ながら思う。

この子はミチルと1歳しか変わらない子だ。……俺からしたらレノですら幼子に見えるのに。

チレッタ……お前が結婚した相手は人間で、お前より1000歳以上も年下だったろう。

どうして結婚した？……いや、どうして結婚できた？

お前は結婚する少し前から死期を悟っていた、最愛の家族を残していくことが怖くなかったのか？

……その恐怖を超えるほどの気持ちが、この世に存在するのか？

今こそお前が生きていないことがもどかしい。
適当に流さずもっとちゃんと聞いておくべきだった。

………………。

それはAの話も同じか。俺は愛や友情はいいものだと言いながら、俺自身が何よりもそれを避けていた。

失うことが……怖かったから。

相手に失わせることが恐ろしかったから。

でもAは俺の寿命が短いのを知っても……恐れず飛び込んでくるんだな。