ルートフィガロ 1 ページ1
術式をかけます、と部屋にこもって数時間後、閃光弾でも落ちたのかと思うほどの光が溢れて駆けつければAが床に倒れていた。
「A!!!」
意識は無い。魔力もほとんど失っている。
見た感じ、魔力を短時間に大量消費したことによるショック症状のようだけど、術式が術式だから慎重に見ないと。
かなり分厚くなったAのカルテを出して今の心拍や体温を記録した。
数日後、大いなる厄災は昨年の10分の1程度の威力で訪れた。そのおかげで魔法使いに死者なし。多少町は壊れたけど許容の範囲で幕を閉じた。厄災の力を弱めるなんて願掛けとしか思ってなかったけどまさか本当だったとは。
あの子は生かしておかないと。南の魔法使いたちのためにもね。
「Aはまだ目覚めないのか」
「オズ……、」
夜も更けた頃、オズが部屋に入ってきた。ここ2週間、様子なんか見に来たことないのにどういう風の吹き回しなんだか。
「もし目覚めなかったらどうなる?」
「そうだね……分からないけど、10年後また同じ災厄が訪れるんじゃないかな」
この子がもし目覚めなかったら…………目覚めなかったら?
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作者名:灯油マン | 作成日時:2023年7月30日 1時