そんな僕らの日常生活9

Initiation love 22 ページ22

山「さて、そろそろ23時か…。皆の所に帰ろう！」

圭「うん！」

探索に時間を取られたこともあり、時刻はまもなく23時になろうとしていた。




後一時間もすれば前夜祭が始まるのか…

時計の針が12時を回ると同時に開始される仮面舞踏会。
庶民の俺には馴染みのないものだけにどんな事が行われるのか全く想像がつかなかった。


仮面つけて踊って何が楽しいんだか…

どこか浮世離れしている話になかなか思考がついていかない。

でも…

これが知念が今迄普通に体験してきた日常の一コマなんだよな。


一流企業の後継者…

俺の知らない知念のもう一つの顔。



ねぇ、知念は今何を思っている？

大好きなおじいさんを説得するのは難しいよね…
それともまだ美咲さんが側にいて身動きがとれないでいるの？



出来ることなら…

今すぐ抱きしめてずっとずっと俺だけの知念でいて欲しいって伝えたい。


同じ船の中にいるのは確かなのに…

侑李…どこにいるんだよ？






それにしても、これからどうやったら知念を奪還できるのか…
その方法が俺には皆目検討がつかなかった。

万が一おじいさんの説得に失敗したとしたら…

攫って逃げるにしても海の上では不可能だ。
薮ちゃんは何か良い方法を思いついているのだろうか？



そんな事を考えながら歩いていると、ふと隣歩いていた圭人の足が止まった。


圭「…！？あれっ？」

山「圭人、どうかした？」


急に後ろを振り返った圭人。

俺もつられて後ろを振り返ったけれど、奥には広い一本道の通路が続いているだけだった。

圭「気のせいかな？何か視線を感じた様な…」

山「視線？後ろ誰もいないけど。ちょっと知念の事で気を張りすぎてるんじゃない？」

圭「そうかな…何か普通じゃない感じだったから…」

山「普通じゃない視線って、圭人なんでわかるのそんな事？」

圭「俺…イギリスにいた頃陸軍の訓練を受けてたから。
その時と同じで敵を見る様な鋭い視線に似てた気がして…」

山「おいおい、圭人までそんな隠し事あったの？俺ショックだわ〜もう立ち直れないかも…」

圭「違っ！別に隠してたわけじゃないって！！(汗)」

山「嘘だよ！
もしかしたら、俺たちを知念に会わせない為に美咲嬢の執事辺りがどっかから見張ってるのかも。一応、薮ちゃんに報告しよう！」

圭「そうだね。危害を加えられる可能性は低いだろうけど…」


そうして俺たちは皆がいる部屋へと急いで戻ったのだった。

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