賃貸の借方 ページ6
「ですから、男性と女性が同じ賃貸を借りることは出来ません。
男は野蛮なのだと学校で初めに習うでしょう?」
鬼灯を見下す様に言い切った不動産屋の女性店長は、目を細めて手元の書類を興味なさげにパラパラと捲っていた。
「…そうですか、分かりました。では女性が同じ案件を持って来た場合は、どうなりますか?」
「勿論、借りれますよ。
女性の同意上ですので、すぐにでも貸せる良物件をお探ししますとも」
ピクリと眉を動かしながら、鬼灯は溜め息を吐きそうになるのを我慢して問うと、店長は呆れた様な調子で立ち上がり、続けてこう言った。
「もう良いですか?こんなくだらない話に付き合ってる程、私も忙しくないんで」
その姿を見た鬼灯は徐ろに携帯電話を取り出すと、何処かへと電話を掛けた。
その相手に今いる場所を言い、すぐに来る様に伝えた。
「もう暫く、此処で待ってても宜しいですか。
その女性が近くに来ているので、彼女が借りたいと申せば、すぐにでも探してくれるんですよね?」
ギロリと挑発する様に睨む鬼灯の気迫に少し目に恐怖と怯えを纏わせた店長は、コクリと無言で頷く他なかった。
「ほ…加々知さん、お待たせしてしまい申し訳ない…」
Aが到着したのは、十分程後の事だった。
ショートボブで黒茶色の髪を風に遊ばせている猫目の彼女は、まるで受付嬢の様な格好である。
「いえいえ、大丈夫ですよ。
それで、この不動産の店長が「女性が言えば、すぐにでも借りれる良物件を探してくれる」そうで…」
「え、そうなんですか?
それなら、彼と住めるほど…あー、部屋は別にして欲しいんですけど、安めの所ってありますかね?
交通機関は不便でも構わないので。
あと絶対に事故物件や、いわくつきにして下さい」
少し不思議そうに首を傾げたAだったが、スラスラと条件を言い切った。
そんな彼女に慌てて女性店長は条件に適する良物件をすぐに探し始める。
が、なかなか見当たらない。
当たり前である。
まず、事故物件やいわくつき物件を好む人間が不動産屋に来る事自体が可笑しい話なのである。
しかし、見つからないという今の現状が更に彼女の心を焦らせてしまっていた。
「少々お待ちください」と彼等に言うと、奥の部屋へと引っ込んだ。
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無自覚サイコパス(プロフ) - ひなたさん» 返信が大変遅れてしまい申し訳ございません!!これからもひなた様に喜んで貰えるよう日々精進させていただきます。コメント、本当にありがとうございます。 (2019年2月5日 23時) (レス) id: d954a9a9d2 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 内容がすごく私好みでこういう小説が見たかったんで最高です…応援しております、、、!! (2019年1月31日 1時) (レス) id: 0dee45b0bd (このIDを非表示/違反報告)
無自覚サイコパス(プロフ) - るいさん» そのように言って頂き、喜びで天にも登るような気持ちです。ありがとうございます!!頑張って更新して行きたいと思います。 (2019年1月27日 11時) (レス) id: d954a9a9d2 (このIDを非表示/違反報告)
るい - 面白いお話ですね!!ヒプマイ×何かのジャンルで一番好きです!!これからも応援んしてます!更新待ってますー (2019年1月26日 1時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無自覚サイコパス | 作成日時:2018年12月14日 19時