とある職場での話 ページ5
「それでだ。その嬢さんが、いつの間にか消えてる…。もしかしたら、私は夢でも見てたんじゃないかとも考えているけれど、君達はどう思うかね?」
声を潜めて問う最後に回った営業先のお得意様は、どうやら疲れで幻覚が見え始めたらしい…。
しかし、いきなり話を振られたら一溜りも無い。
何より、その状況を知らない此方からすれば、そんな学校の怪談に出てくるような『トイレの花子さん』風の小学生など見掛けたら、絶対に疲れてるんだ…早く帰ろうとしか考えられない。
というか、ハゲ上司がこっちを睨んでるから先に俺に答えさせようとしてる魂胆なの見え見えだぞ?
あ、それも俺のせい?お得意先の営業マンが幻覚見たのも、上司が禿げてるのも、みんな俺のせい…俺のせい…俺のせい…
「観音坂君?」
「え?!えっと、その…げ、現実…だと思います」
突如名前を呼ばれ、驚いた俺は嘘を吐いた。絶対に笑顔もぎこちない…いや、それは元からか…。
そして、俺が答えた事を良い様に、ハゲ上司も答え始めた。
「そうですな、観音坂君の言うように現実でしょう」
これ、どっちに転んだとしても、俺の責任になるんだろうな…。そんなの当たり前か、俺が悪いんだから…。そう、俺が悪い…俺のせい、俺のせい…俺のせい…
「そうですよね!
まぁ、もしその子を見掛けたら、宿題の協力をしてあげて欲しい。あの感じだと、他の人にも聞いてると思うので…」
うわっ、この人めちゃくちゃいい人…!
見ず知らずの小学生の宿題に協力を仰ぐとか、絶対に会う確率低いのに…!
営業課でも社畜は、専らパソコンに向かう事もあるのに!
あ、もしかして「お前はそれくらいしか脳がないんだから、もっと働いて貢献しろや」を遠回しに言ったのか…?
有りうる、というか、それしか考えられない!
あー、なんて理解が乏しいんだ俺は…。
いや、これも俺がちゃんと相手の心を読む事に長けていないからか?
やっぱり、俺は……
そんな事を考えている内に今日の営業は終わり、俺は今日も会社に遅くまで残る。
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無自覚サイコパス(プロフ) - ひなたさん» 返信が大変遅れてしまい申し訳ございません!!これからもひなた様に喜んで貰えるよう日々精進させていただきます。コメント、本当にありがとうございます。 (2019年2月5日 23時) (レス) id: d954a9a9d2 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 内容がすごく私好みでこういう小説が見たかったんで最高です…応援しております、、、!! (2019年1月31日 1時) (レス) id: 0dee45b0bd (このIDを非表示/違反報告)
無自覚サイコパス(プロフ) - るいさん» そのように言って頂き、喜びで天にも登るような気持ちです。ありがとうございます!!頑張って更新して行きたいと思います。 (2019年1月27日 11時) (レス) id: d954a9a9d2 (このIDを非表示/違反報告)
るい - 面白いお話ですね!!ヒプマイ×何かのジャンルで一番好きです!!これからも応援んしてます!更新待ってますー (2019年1月26日 1時) (レス) id: a5de77afb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無自覚サイコパス | 作成日時:2018年12月14日 19時