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九話『図々しい』 ページ9

「つまりそれは助かったということだね―――ちぇっ」



―――「ちぇっ」つったかこの人!?
太宰の言葉に心で突っ込む敦。

突っ込み不在の危機はどうやら免れたらしい。声には出していないが。

するとそんな敦を哀れに思ったのかキャロルが前に出て、



「入水なんてしてるとか誰も思わないだろう?誰が好き好んでジサツなんてする?」



入水!!?ジサツ!??
キャロルが援護したものの、敦の頭に更に混乱を招いた。

唖然、否ぽかんとしている敦に、太宰が一言。



「知らんかね入水。つまりジサツだよ」


「多分それは理解してるんじゃない?」



あ、突っ込み役増えた。

太宰の言葉に突っ込みを入れたのは意外にもキャロル。キャロルはどうやら呆けと突っ込みの両刀使いということで位置付けられた。



「いや、それにしてもだよ。私はジサツをしようとしていたのだ。其処に善意とはいえ、悪意が無かったとはいえ君が余計な―――」


「は、はあ……」



あれ?僕今怒られてる?
敦が怒られる要素は一切無い。何故怒られているのか。

それは太宰が常識という枠を超え過ぎているからである。



「まあ―――人に迷惑をかけない清くクリーンなジサツが私の信条だ。だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度。何かお詫びを――――」



____グゥゥゥ

太宰の話を遮るように敦の腹の虫が鳴る。
敦の目に光が宿っていない。何故だ。羞恥心からか、それとも太宰に対する疑いの目か。

暫くの沈黙の後に、太宰がクスリと笑う。



「……空腹かい少年?」



それを聞くだけなら早目に聞いてやれと思ったのは云うまでもない。



「じ、実はここ数日何も食べてなくて……」



_____ぐぅぅぅぅぅ

続いて太宰の腹の虫も鳴った。
はい、此処でこの後の話の展開を全て察したキャロル。うわぁ、と若干引いた目で太宰を見詰めている。



「私もだ。因みに財布も流された」


「ええ?助けた御礼にご馳走っていう流れだと思ったのに!」



太宰の言葉に驚愕する敦。
いや図々しい。割と図々しいぞ此奴。



「?」


「『?』じゃねえ!!」



突っ込み役がそろそろ限界に達してきたであろうこの瞬間に――――



_____おォーい



救世主が現れた。



「こんな処に居ったか唐変木共!!」



川の向こう側に、国木田独歩が仁王立ちしていたのである。

十話『唐変木共』→←八話『迷惑装置×二人』



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ヘルパー(プロフ) - 及川さん» ありがとうございます!私も正直何書いてるんだろうと思いつつ勢いのままに進めてます!w応援ありがとうございます!お応え出来るよう頑張ります! (2018年4月4日 15時) (レス) id: ee09beb631 (このIDを非表示/違反報告)
及川(プロフ) - 見たことのない書き方ですごい魅力的でした!!更新頑張ってください!影でひっそり見てますねw (2018年4月4日 15時) (レス) id: baff135399 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヘルパー | 作成日時:2018年4月4日 12時

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