欲張り ページ14
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なんでイタリアに来たのか、あのベンチで一度聞いたことがある。
「一緒に来よう、って約束してた人がいたから」
「約束？」
「そう。それを思い出して」
遠くの夕日を見ながらそう言った彼女の横顔を見つめながら、
「それって、だれ？」と聞きたいと思った。
でも、聞いてしまったらダメだとも思った。
横顔じゃなくて、こっちを見てほしいと思った。
カフェの店員さんや、街中のおばあちゃんや、日向ぼっこしてる猫に向ける笑顔じゃなくて、
ほんとの、君の、本当のことを知りたいと思った。
その時からずっと、好きなんだと思う。
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目が覚めると、窓の外は真っ暗だった。
ひんやり冷たいタオルがおでこに乗せられていて、こまめに取り替えてくれた人がいたのがわかる。
たくさん汗をかいたからか、体はもうすっかり軽くなっていた。
ゆっくり起き上がってリビングに向かうと、メガネをかけてパソコンに向かうAちゃんがいた。
こちらに背を向けているからか、気付いていない様子。
無造作に結ばれたポニーテールに触れたくて、手を伸ばしかけて、やめた。
「なにしてんの」
「ヒャッッッッ」
びっくりした〜と振り返るから、腹を抱えて笑ってしまった。
なにその声、聞いたことないんだけど。
「お水飲みましょっか。熱も計りましょ」
俺がツボに入って笑ってる間に、むすっとした顔のAちゃんは、水の入ったカップと体温計を用意してくれる。
ソファに腰掛けて水を飲むと、脇に体温計を挟んだ。
「ずっといてくれたの？」
「だって、でっかい人がうるさいから」
「そんなうるさかった？俺」
「うるさかったですよ。帰らないで〜寂しい〜泣いちゃう〜って」
「捏造は良くないねえ」
ピピピ、と音が鳴った体温計には、37.2℃と表示されていた。
「回復しました」
「それはよかったです」
体温計をケースに戻しながら、ふう、と一息ついてメガネを外すAちゃん。
「じゃあ、私帰りますね」
「えっ、あ、うん」
そそくさと荷物をまとめて、お邪魔しましたと手を挙げる。
そんなに早く退散する？ってくらい早い。
せっかく同じ部屋にいたのに、もうその玄関を出たら彼女は二度と、来てくれない気がして。
帰ろうとする彼女の腕を掴んで、引き留める。
やばい、好きだと自覚した途端に……めっちゃ欲張ってね？
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〇〇(プロフ) - いつもお話読ませて頂いてありがとうございます。ドキドキハラハラしますね。楽しみです。 (4月23日 11時) (
レス) @page41 id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
Yajirushi.(プロフ) - 〇〇さん» 読んでいただきありがとうございます（ ; ; ）更新速度が遅く、申し訳ありません。楽しんでいただけますと幸いです！ (4月6日 23時) (レス) @page33 id: 475853de31 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります！ (4月5日 20時) (レス) id: 17708f6b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yajirushi. | 作成日時：2024年3月3日 0時
