【鬼滅の刃】私は鬼では無い、人間だ。 (ページ26)

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それはそれは、とても静かな朝に起きた人間だ（最後が気に食わないので修正してます）ページ26

早朝、目覚めればあの時と同じように、管が繋がれていた。
まだ外は薄暗く、しかし、少し明るい青が塗られていた。

私は管を無理矢理抜いては、近くにあった松葉杖を使って歩く。
ぎこち無い足はそれはそれでゆっくりと下手くそに歩いた。あの時と同じように、いや、今日の方が明るいがまだ月が顔を出しているこの時間帯に庭に出て、松葉杖を手放した。
くるくる舞い踊れば、あの時のようにあの人が来てくれると思っていれば、数十秒で私の方が限界を来ていた。

立ち上がらせてくれる、そう思い目を瞑っても足音さえ聞こえなかった。

『うっ……うぅっ……』

目から溢れ出る雫はポロポロも流れ落ちた。
私にとって、今は、とても受け止めきれない現実であった。
好きだから、愛していたから、尊敬していたから、憧れていたから
ポッカリと空いたその空間はとても寂しく、悲しい気持ちで溢れかえった。

居ない。

あの人の声が聞こえない。

目から分かる感情が見えない。

あぁ、あの時もっと話しとけばよかった。
あの時も、用事があるからって逃げてしまったな。
いつの日か甘味屋で団子を食べまくったのにあの人、そのあとも食べてたな。

もっと、もっと、関わっていればよかった。

いや、ううん……

こんな思いをするなら、こんな事になるのなら

出会いたくは、無かったな。

あの人が逝ってしまったのだとわかってしまうと、余計に辛くてずっと泣いてしまいそうだった。

『…す…ッ好きです、……煉獄さん
あい、しておりました……』

もう伝わらないこの言葉は、誰もいない静かなこの場所で消えてゆく。

『ぁぁ……ぁ゛ァ゛…ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”！！』

喉にたまる思いは、涙と共に泣き叫んだ。
夢じゃないこの世界で、何度何を言っても返事はかえってこないのだろう。

だから今だけは、今だけは、溢れ出るこの思いを流させて。
でなければ、約束を果たせずにこのまま死んでしまいそうだから…

あの人の為に生きて、禰豆子ちゃんの為に死ぬんだ。
それが果たされるまでは私は生きなければならない。

もう、誰も失わせないように

失わないように

強くならなければ、ならないと

あの人のように、心を燃やして

強く！！

強く！！

強く、強く、強く生きて、若き芽を守らなければ
あの人のために、あの人の代わりにならなければ

私は立たなければいけない
大きなものを背負わなければいけない

私は、私は＿＿＿

煉獄さんにならなければ