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『…えっ、うそ、』
握りしめていた手。
いま一瞬だけ、
そっとテヒョンが握り返した。
『テヒョン、テヒョン!』
「A!どうしたの!?」
私の声を聞いたジミンが、
荒々しく扉を開いて入ってくる。
『いま、一瞬だけテヒョンが手を、
握り返したの…!
テヒョンが、!』
テヒョンが、テヒョンが、と
ただただ繰り返す私をジミンは宥め、
先生を呼ぶ。
額に汗をかいた先生は、
慣れた様子でテヒョンをあちこち確認していく。
その様子を私は何もできずに、
突っ立って見ているだけ。
何もできずに、ただ。無力に。
ほんの少しの希望に震える。
「…落ち着いて聞いてください。
テヒョンさんの意識は戻っていません。」
『…え、?でも、』
僅かに見えた希望の光も、
先生の言葉で途切れる。
何言ってるの?
いま確かに私の手を握り返したんだよ…?
テヒョンが、確かに私の手を。
「おそらくですが意識とは関係なく動く、
反射的なものだと思われます。」
へたりと力が抜けてふらつく私を、
優しく受け止めるジミン。
頭ががんがんと、
ひどく痛む。
痛い。
痛い。
心臓のずっと奥が痛いって。
そう叫んだ。
その痛みとともにぷつんと記憶は途切れた。
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k-pop大好き - とても、切ないお話でした。。推しがテテなので、過去に失った大切な人がテテと知ってモヤモヤしました。。最後、テテが主人公を呼んだ時に涙が止まりませんでした。。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 148acec4a4 (このIDを非表示/違反報告)
kore(プロフ) - あきさん» あき様、コメントありがとうございます。面白いと言っていただけて嬉しいです…!私も書きながらどんよりした気持ちになりましたね…。なのでハッピーケース!!ハッピーになってもらえたらなと思います!! (2020年10月9日 22時) (レス) id: 2761e1482c (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 読み進めていくなかで覚える違和感、最後の一行ですっきりしました。が、気持ちは、、、泣。どうかハッピーケースが訪れますように!とても面白かったです!!他のお話の更新も楽しみにしてます。 (2020年9月7日 1時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バム. | 作成日時:2020年9月6日 3時