歪め。【宇髄天元】

咎める ページ18

生徒とコミュニケーションを取る。
それは教師の最も大事と言っていい仕事だ。


「Aちゃーん」

『先生と呼びなさい』

きゃいきゃいと談笑しながら近づいてくる女子生徒。
うーん、キラキラしてるなぁ。私の学生の頃とは大違い…


「はい、これ」

『これ…提出日過ぎてるよ。遅れるなら言いにきてね？』

「はーい。次からそうしますー」

彼女らは目を見合わせて肩をすくめる。

『あと、毛染めとお化粧は駄目。私だからいいけど、他の先生に見つかったら大変だよ』

「はぁ…Aちゃんって説教ばっかだよね。つまんないの」

『大人はつまんないもんだよ』

「…あ、つまんなくない大人代表！」


ん？
振り返ると、宇髄先生がガムを弾けさせていた。

『いや、あれは大人に数えない方がいい…』

「なんだ？あ、お前ら、毛染めと化粧は校則違反だろ」

あら、宇髄先生が真面目なことを。

「えー、先生もめっちゃメイクしてるくせに」

「俺は大人だからな。お前らは…なんつーか、もったいない」

「もったいない？」

「歳を取れば顔にいろいろ塗りたくって隠さなきゃならねぇもんが沢山ある。けど、お前らみたいな若いもんにはそれが無いだろ。お前らはそう言う時期を無駄にしてる」

宇髄先生のような美しい大人が言ってても説得力がない気がするが。

「もともと可愛い顔してんだから、それで勝負してみろよ」

「…！」

あ、射抜かれた。
こういう現場に何もしないのに居合わせるのは気まずい。

と、生徒に爽やかな微笑みを見せている宇髄先生がこちらを見た。


「妬いてんの？お前も可愛いって！」

『え、いや、何も言ってないけど？』

「いやいや、私のことはどうなのよーって顔してたぜ」

生徒たちがくすくす笑ってる。
あぁもう、私はいつもこういう立ち位置だ。

「出たよ、キメ学名物夫婦漫才」

勝手に名物にしないで。


「…てかさ、二人も風紀乱してるよね」

「『え』」


「そこの教師二人！いつもイチャイチャなんのつもりなんだァァ！！」


あれは風紀委員の我妻くん。
学園内カップルを取り締まっている(？)という噂は本当だったのか。

「ここはな、神聖な学びの場なんだよ！そんなところでな、教師が手は繋ぐわ肩は組むわ腰は抱くわ、そんなんだからしょうもねえリア充が増えんだよおおおお」

『あ、我妻くん落ち着いて』

「ほっとけ。哀れなモテない男の叫びだ」

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