縁 ページ16
縁なんてものとは程遠い。
ただ偶然、こんな気味の悪い男と出会ってしまっただけ。
私たち、縁があって今こうして一緒にいると思う。
そうだったらいいなって、結構本気で思ってる。
そう語ってくれた柏原さんの横顔は、暗がりの中にもはっきりと映えた。
俺は多分、嬉しかったんだろう。
『…』
おかしい、柏原さんが出てこない。
いつもなら20分前には部屋を出てくるはずだ。
インターホンを押す。
『…』
出てこない。
まだ寝ているのか？それとも先に行った？それとも…
嫌な想像を掻き消すように頭を振る。
あぁ、隣にいながら情けない。
こうなったら扉を破って…
「あ、冨岡さん。おはよ」
『お、おはよう』
柏原さんは苦しそうな顔で、扉に寄りかかっていた。
それに、寝間着のようなラフな格好。
こんな姿は初めて見た。
『体調不良か』
「うん。今日休む」
『なら俺も休もう』
「え」
柏原さんはずっとベッドで横になり
たまに起き上がっては寝て、
眠れない…とか呟いていた。
「昨日ちょっとした夜食にしようと思って、賞味期限1ヶ月前くらいのお肉食べたんだよね」
『ほう』
「しかも生焼けで」
何をしているんだ。
「ちゃんと火は通さないとねぇ」
『全くだ。下手をすれば、死ぬぞ』
俺は気づかないうちに凄んでいたらしく、
柏原さんは目を丸くした。
「うん…ごめん」
それから小さくなった。
『いや、怒るつもりはなかったが…』
「心配してくれたんだよね。ありがとう」
無造作に垂らした髪の隙間から覗く笑顔。
何も考えぬままに、上半身だけを起こした彼女の手を握った。
「と、冨岡さん…？」
『…あ、いや』
自分でも、手と顔に熱が集まっているのが分かる。
言葉に困って、何も言わずにただ目を合わせている。
「…」
『…』
なんとなく、沈黙ですらも心地良い。
そう思うのはきっと俺だけじゃない。
静かな部屋に、インターホンの音が響いた。
「誰だろ…出てもらえる？」
『あぁ』
不思議な緊張感を持ちつつ、ドアを開ける。
「A！！」
悲鳴のような叫びが飛び込んできた。
知らない男だった。
「善逸…？」
後ろからは柏原さんの声。
これはいわゆる修羅場だろうか。
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いのり(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 最後まで読んでくださってありがとうございます！締めが善逸くんですいません(笑)これからも夢主ちゃんをよろしく頼みます！よかったら他の作品も応援お願いしますね！ (2021年11月6日 20時) (
レス) id: c234760d5a (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 我妻…、(何でお前が最後で締めるんだ…)？完結おめでとう…。次は、誰の書くんだ…？良かったぞ。これからも夢主と仲良くするつもりだ。冨岡義勇だ。これからも頑張ってくれ。 (2021年11月6日 15時) (レス) @page42 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - なんて言う悲しい匂いだ…。本当に人違いですかね？俺の鼻は人違いでは無いって言ってます。竈門炭治郎です。続き楽しみにしています。 (2021年10月20日 7時) (レス) @page32 id: 38350d71b2 (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 釜さん» ありがとうございます！とても励みになります♪これからも応援いただけると嬉しいです！ (2021年9月18日 8時) (レス) id: c234760d5a (このIDを非表示/違反報告)
釜(プロフ) - こんばんは！ほんわかしたお話で、描写も綺麗で好きです！ (2021年9月17日 21時) (レス) id: e08aae1730 (このIDを非表示/違反報告)
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