幸せを願う【不死川実弥】 (ページ19)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:9,716 hit

回想-賭けページ19

『いだ』

頬をつねられた。

「うとうとしてんじゃねェよ。集中」

顔を上げると容赦なく叱りつけてくる実弥。
般若か何かに見える。

今は実弥と一緒に勉強中。

『ﾍﾞﾝｷｮｳｷﾗｰｲ』

「好きな奴なんていねーよ。頑張れ頑張れ」

『そんな棒読みで応援されても…
頑張る君が好きだよ(イケヴォ)とか言ってくれたら頑張るかもよ？』

「頑張ってねえから言えねぇなァ」

ぐぬぬ、厳しい…

『うーん、じゃあこういうこと？あっ、だからこうなるんだ』

「そうだァ。楽しいだろ？」

『楽しくは…ないけど、ちょっとだけ分かるかも』

「おし、じゃあこっちもやろうなァ」

『えっ進み早い』

私が真面目にやっているのを見ている実弥は嬉しそうなので、頑張ろうという気になる。私偉い。

『まだこんなに問題あるの…』

「これは基礎寄りだからできるだろ。正答数少なかった方がパフェ奢るな」

パフェ食べたいのかな。

『いや、実弥が有利に決まってるじゃん得意なんだから』

「あぁ？まあ十中八九俺が勝つなァ」

『でしょ。だから奢るの実弥だけね』

「…良いけどよ、負ける気しねぇし」

『あ、じゃあさじゃあさ、キスしてよ』

実弥が椅子から転げ落ちそうになる。

『ちゃんとしてくれたことないよね。タダだしいいでしょ？』

「…だったらわざと負けてやろうかな」

『なんて？』

「始め」

あ、無理矢理始めた。
よーし、パフェよりがぜんやる気が湧いてきた。

私意外にできる奴なのでは…？

「は？お前できんじゃねェか。ふざけんなよ」

『どや』

ん？てことはここではじめての…？
え、やばくない？

自分で言ったことに焦り出す私をよそにノートを見比べる実弥。

「残念だなァ。二問差で俺の勝ち」

『えっ』

本気出すんじゃないよ、彼女とキスがしたくないのか。
けど実弥もよく見るとどこか残念そうだ。

「お前にしては頑張った方なんじゃねぇの」

笑った実弥が急接近してきたと思うと軽いリップ音がした。
でも唇には何もなし。

かわりに額に何かが当たる。

『え…あ、え』

「頑張るAが好きだぜ」

実弥は頭の上で大きな手を弾ませた。

なんなのこの人、なんでそういうことしちゃうの。

『罪作りだね…』

「いや、お前が言うなよ」

『どのへんが。えへへ、でも私やればできるでしょ』

「そうだなァ…おい、なんで終わったと思ってんだ。間違えたやつ見直せェ」

さっきまでの甘い雰囲気は何？と聞きたくなる。
実弥のそういうところも好きだった。