鋼鐵塚蛍が嫁を取ったらしい【鬼滅の刃】

四十 ページ41

再び目にした蛍くんは熊と戦っていた。
5発殴ってKO。怖い。

さすがにここまでの修行は必要なのだろうか。


『お疲れ様、蛍くん。休憩したら？』

風呂敷を解いてみたらし団子を見せると
すぐにこっちにやってくる。

もぐもぐ食べるのをじっと見る。

多分、今は何を話しても聞いてくれない。

「ごちそうさん」

『はい。蛍くん、あのね…』

「よし、修行するか」

『え』

風のように走り出す蛍くん。
脇腹を痛めちゃうわよ…

走って追いかけたいけれど、それほどの元気はない。

『…無理しないでね！』

とだけ言って家に戻った。



たまには温泉にでも行こうかな。

刀鍛冶の里は密かに名泉で知られている。
いろんな効果があるらしい。

『…ん』


湯けむりの奥に影が見える。

今日は先客がいるようだ。

『失礼しまーす…』

「あら、こんばんは」


息を飲む。
とんでもない美女がいた。

桃色の長い髪にほんのり染まった頬。
ついつい目がいってしまう大きな胸。
そして人形のような可愛らしい顔立ち。

この里の人じゃない。


「私は恋柱の甘露寺蜜璃っていうんです。
ここの温泉は前から噂に聞いていたので入ってみたくて」

『え、柱様でしたか…』

こんな女の子が…すごいなぁ。

「かしこまらなくていいですよ。よければお名前聞かせてください」

『恐れ入ります、鋼鐵塚Aと申します』

「あら、鋼鐵塚さんって聞いたことがあるわ。
ご家族なんですか？」

蛍くんはやっぱり有名みたいだ。

『えぇ、妻でして』

「きゃあ、貴方みたいな綺麗な人が奥さんだったなんて！」

頬を更に赤く染めて可愛らしくはしゃぐ恋柱様。
蛍くんが結婚したという噂は鬼殺隊全体に大きな衝撃を与えたそうだ。



「馴れ初めは？」

『えーっと、里長に言われてさらっと…』

「さらっと」

『えぇ、成り行きで…』


恋柱というだけあって、人の恋路に興味津々だ。
色々聞き出されてしまった。

「仲がいいんですね！憧れるわぁ…」

『恋柱様はそういうことはないのですか？』

彼女ほど美しければ、相手に困りはしないだろうに。

「やだ、私のことなんていいのよ〜！」

思いっきり背中を叩かれる。

べちーんと高い音が響く。
肩甲骨が砕けたかと思った。痛い。

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