鋼鐵塚蛍が嫁を取ったらしい【鬼滅の刃】

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『蛍くん、さっきの話どういうこと？』

さっきの話とは婚礼のことだ。

まさか蛍くんがそんなことを考えるなんて。
案外乗り気だったり…するわけないか。

「俺はどちらでもいいんだが」

『そう』

「お前が言ってたんじゃねえか。
いつか白無垢を纏いたいと」

『あ』


小さい頃、蛍くんと花嫁行列を見たことがある。
花嫁は真っ白な装束を身に付け、背筋を伸ばして歩いていた。

それがとても綺麗で、楽しそうで

私もいつかああいう風になりたいと言った、ような気がする。

『そんなこと覚えてたの』

幼心で口にしたことだろうし、
私ですら朧な記憶だ。


蛍くんはどうして覚えているんだろう。


「で、どうする」

『…うん、やっぱり挙げたい』

何にせよ、嬉しい。
覚えていてそんなことを言ってくれるなんて。

蛍くんも彼なりに、考えてくれている。

『ありがとう、蛍くん』

「ふん」


『…』

なに、これ。

心臓を綿でくすぐられるような、
軽くなるようで重みを伴うような変な感じ。

でも、口角はひとりでに上がってくる。

「はっ、その顔だ」

『え？』

「大したことでもないのに、嬉しそうににやにやしやがる。
そういうのがおたふくみたいな顔だってんだ」

そう言って私の頬をつつく。

つんつん、というよりづんづん、だ。

蛍くんだっていつも口を尖らせて、
ひょっとこみたいだけど。

『痛いって』

いざ挙げようなんて言ってしまったけど、大丈夫なのかなあ。


『蛍くん、お願いがあるの』

「言ってみろ」

聞いてやるとは言わないのよね。

『婚礼の時は行儀よくするように努めて』

「む」

『退屈な儀式とかもあると思うんだけどね、
そこで暴れられたりしたら困るから、本当』

ここまで下手に出てするお願いではない。
彼以外が相手なら。

『無理って言うならやめるけど』

「やめなくていい」

蛍くんは案外頑固だった。

「そもそも俺をなんだと思っている。子供か？」

いえ、赤ん坊です。

「安心しろ、俺に任せておけばいい」


『…うん』

今日の蛍くんはなんか格好いい。なぜだろう。

五.婚礼→←三

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