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医務室の中はヤーデとゾム､マンちゃんと俺だけになった｡
「取り敢えず自己紹介するか」
俺はそう言い､帽子とマスクを取って続けて言った｡
「俺は“蘭・ひとらん”｡我々国の戦闘副兵長を担っている｡気軽に“らんらん”とか“ひとらん”って呼んでね」
「ひとらん…?…さん」
“さん”を付けないことに違和感を感じたのか“さん”付けをされてしまう｡
「あははw堅苦しいなぁw徐々に慣れてってくれれば良いからさ」
俺なんかグルッペン逹に会った時､ため口､敵意剥き出しだったのにw
「次はオスマンやな!」
そう言ったのはゾム｡
ゾムを見るといつの間にか緑色のフード――クリーパー模様の入った――を被り直している｡
「我々国の天才外交官､“オスマン・アウスブリック”めう｡此処の幹部に女のコは初めてやけど宜しくめう!」
マンちゃんは糸目だった目を少し開いて笑顔で手を取りながら言っている｡
「宜しくお願いします｡オスマンさん」
「敬語は外すめう!それにマンちゃんって呼んでや!」
「そうそう｡ヤーデちゃんは俺らの仲間なんだから」
俺はマンちゃんに合わせて言う｡
―――仲間
俺がコイツらの仲間になったのは何時だったけな｡
なんて感傷に浸っていると
「じゃ､あ､ひとらん､マンちゃん…宜しく…お願いします…」
ヤーデが長めの茶髪を流しながら一礼して言った｡
そんなかしこまらなくても良いのに…w
「宜しく､ヤーデ!」
「早くヤーデとお茶会がしたいめう〜」
俺とマンちゃんは笑って言う｡
“ヤーデ”という名前の想いが苦い物でも､“ヤーデ”は悪く無い｡
ヤーデを幸せにしなきゃ｡
俺は心の中で呟いた｡
「自己紹介もしたことやし城内探検に行くめう!」
元気よく言ったマンちゃんに俺逹は続く｡
でもゾムはベッドの上に座ったまま動かなかった｡
「どうかした?ゾム?」
俺が声を掛けるとゾムはフードを取った｡
「…いやぁ､あんな……」
ゾムは不貞腐れた声で言う｡
あ､いつものだ｡
「…ヤーデ､俺の名前も呼んでくれへん…?」
ゾムは頬を掻きながら言った｡
かまちょだねぇ…w
ゾムの言葉にヤーデは驚いている｡
まぁそれもそうだろうw
ヤーデは顔に笑みを浮かべ､飛び付く様にゾムに抱きついていく｡
「大好きだよ!ゾム兄!!」
ヤーデはゾムの腕の中でそう言った｡
ゾムはヤーデを抱きしめて一緒に笑った｡
まるで本当の兄妹の様に
…本当の兄妹なら良いのに
俺は胸が痛くなって目を逸らしてしまった｡
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作者名：アンバ | 作者ホームページ：ないと思ったか！……ないんですよねぇ
作成日時：2020年12月30日 20時
