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私はゆっくりと目を開けた｡
光が眩しくて手で遮る｡
此処は部屋の中…?
脇腹に何かが触れていることに気付く｡
少し重い身体を起こして脇腹を見る｡
―――触れていたのはあの緑パーカーの男だった｡
フードを取り､茶色の結わえた髪を出し寝ている｡
私の看病をしていたのだろうか……?
私の身体には湿布や包帯､ガーゼが付いていた｡
…どうしよう｡
身体は痛くないし､拘束されている訳でもない｡
…？
私が拘束される理由は無いか｡
その時寝ていたパーカー男が起きて
「起きたんか!ヤーデ!!」
と､誰かの名前と思わしきものをその口から発した｡
“起きた”というのを聞くに私､に話しかけているのだろう｡
だが“ヤーデ”という名前に聞き覚えは無い｡
…私には記憶が無いようだから当たり前だけども｡
「あっ…すまん!寝ぼけとったみたいやわw」
私が何が何だか､という顔をしているとパーカー男がそう言った｡
何故かは分からないが彼の笑顔が取り繕った様な薄い笑顔にしか見えなかった｡
彼は私にちょっと待ってな､と言うと耳に手を当て何か小さな声で話し始めた｡
どうやら耳に小型通信機が着いてる様だ｡
「…此処は何処､ですか?」
私は耳から手を離した彼に問う｡
「…此処は我々国｡3年前に建国した発展途上国や｡俺はこの国の幹部､暗殺兵隊長の“ゾム”や」
彼―――ゾムは私に向き言った｡
「まぁ詳しい事は他の幹部が来てから話すわ!」
ゾム､さんは特徴的な八重歯を見せ笑顔で言う｡
「…幹部の皆さんは良い人ですか?」
私はゾムさんに訊いた｡
失礼な事だと思ったけれど､訊かないといけない気がした｡
「良い奴らやで｡めっちゃ良い奴ら…」
ゾムさんは笑顔で言ったけれど､その瞳には悲しい光があった｡
―――一体､この人に何があったのだろうか
無性に知りたくなってしまった｡
ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ
何の音だろうか?
「お!アイツらが来たみたいやな!!」
と言ったゾムさんの瞳にはさっきの悲しい光はもう消えていた｡
「目ぇ覚めてよかったなぁ」
「ゾムさん､11歳ってマジすか」
「俺､11歳はまだやわ」
「ロリコンと変態は下がれや!w」
「ロボロより身長高そうやなぁ!w」
「マジ??!!」
「女の子嬉しいめう」
「紅茶淹れてきました」
「おお!今日は何の茶葉だ?!」
「グルさんのじゃないと思う」
私の居るベッドの方に何人かの人達が喋りながら来る｡
…えっとゾムさん…??
本当にこの人達は国の幹部なんですか…?
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作者名：アンバ | 作者ホームページ：ないと思ったか！……ないんですよねぇ
作成日時：2020年12月30日 20時
