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「――と､まぁこの戦争で2年ほど手付かずになっていた元インテレサント国の領土を､グルッペンさん率いる私達が我々国として建国したんです」
我々国の歴史書を私の前に開き､要所要所に指を指しながらエミさんは語る｡
「
大まかな歴史の流れだけでも､てことで我々国とこの辺の歴史の勉強をすることになった私｡
案外､興味深くてこうしてエミさんに質問することもしばしばある｡
そうですね､とエミさんはペラペラと別の本を捲る｡
現在いるのは一階の中庭の見える大図書室｡
大きな本棚がたくさんあって､本の森みたいなところ｡
絵本や物語とかもあるみたいだから後で読んでみようかな｡
「あ､これですね｡いい質問だと思います」
くるり､と本を私の方へ回転させて､開いたページを私に見せる｡
「貿易摩擦が原因で勃発した､という内容はH国の主張で､I国の主張はないです｡そりゃ戦争でI国の王政が完全に崩壊したので､情報はないんですが……このページはH国の特徴､歴史が載っていて､ここから年表です」
H国はどうやら相当長い歴史を誇るみたいで､びっしり見開き2ページの年表があった｡
その中で特徴的だったのはここ50年ほどの内容で､明らかに戦争が増えていた｡
おおよそ圧勝するか､稀に白旗をあげるかのどちらかで､50年で8回もの戦争をしている｡
「H国は魚介類や石油などの資源は少ないですが鉱山が多いので､鉱石や機械系のものの生産と輸出の割合が高い国です｡一方､I国には海があり石油は輸出するほどではありませんが､魚介類や田畑などの一次産業の生産物が輸出されていました｡あ､我々国となってからは加工貿易も行われるようになりましたね」
傍に置いた地図を開きながら､エミさんはスラスラと話す｡
「うぅ……ん??脳が疲れる……」
「この辺はそんなに覚えなくてもいいですよ｡質問に戻りますが､当時確かにH国は若干の恐慌に陥っていました｡ただ､戦争をしなければいけないほど不況ではなかったと記憶しています｡何か､裏で問題があったと考える方が自然かと」
一息でエミさんは言うと､横に置いていた紅茶を啜る｡
要するに､その戦争は他の原因の可能性があるかもしれない､ってことだよね｡
「……あれ?この国､皇子が死んじゃってるの？」
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作者名：アンバ | 作者ホームページ：ないと思ったか！……ないんですよねぇ
作成日時：2020年12月30日 20時
