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激しい頭痛がして目が覚めた｡
何か良くない夢を長い間見ていたみたい｡
色々考えながらだるい身体を起こして周りを見る｡
目を覚ましても頭痛は止まらない｡
激しい痛みが頭にずっとある｡
周りを見るとすぐ其処には大きめの川が流れていた｡
流れが穏やかで下流の様だ｡
けれど川以外には目立ったものは無い｡
周りは区別も付きそうに無い背の高い木で出来た森の様だからだ｡
そして自分の服装｡
白の半袖カッターシャツに白の半ズボン｡
――ボロボロだった
否､服ではない｡
自身の身体がボロボロなのだ｡
腕､脚にある痛々しい痣の数々｡
それも古いものから新しいものまで｡
掠り傷に切り傷もあったが､それ以上に痣が多かった｡
判らない
此処は何処?
なんで私は此処に居るの?
今は何時なの?
私は判らなかった
―――自分の名前さえも
「…誰?」
「…誰や?」
気配の相手に呼びかけるのと相手が呼びかけたのは同時だった｡
気配のした方向を睨む｡
相手が悪人なのかも判らないが｡
木の奥から出て来たのは馬に乗り木に溶け込む様な緑色のパーカーを深々と被った男だった｡
パーカーが影になって顔は半分程見えない｡
「お前名前は?見た事の無いやつやな」
警戒した声色で男は言った｡
名前
「…判らない｡何も判らない」
解らなかった｡
自分でも何故この男に縋るような声でそう言ったのか｡
「自分の名前､やで…?」
「わからない､わからないの…何も何もッ!!」
気付いたら水が頬を伝っていた｡
何処から出ているのなんて判らない｡
「……落ち着きぃや｡大丈夫や…」
男は私の隣にしゃがんで背中を擦りながら言った｡
その声には警戒の色など無くて…ただ私にそう言った｡
同じ言葉を繰り返して背中を擦ってくれる｡
頬を伝う水は止まる気がしなかった｡
――――――――――――
我々国はつい先程終わった戦争の処理中だった｡
今回の戦争相手
我々国には死者は出ず怪我人も数十名､幹部は掠り傷すら負わずに勝利｡
仕掛けたのはH国､和解の白旗を挙げたのもH国｡
我々国の幹部等は不満と怒りを募らせていた｡
それはゾムも例外では無い｡
「…グルッペンは何を考えてるんやｯ…」
総統からの指示で国内の北側警備＆見回りをしていた“最大の脅威”と謳われるゾムは怒りに任せ､呟く｡
その時前方に人の気配｡
「…誰?」
「…誰や?」
ゾムと相手の声は重なり小さく響いた｡
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作者名：アンバ | 作者ホームページ：ないと思ったか！……ないんですよねぇ
作成日時：2020年12月30日 20時
