【あほの坂田】ねぇ、殺人鬼さん。 (ページ5)

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第5話ページ5

『・・・っだ、れ。』

震えていて、小さかったが、しっかりと声を出した。

軽く泣きたい気分だったが、グッと堪えた。

⁇「ふはっ、」

その赤い髪の男は、私を見て急に笑い出す。

知らない男が、腹を抱えて笑っている。

異様すぎる光景に不安は募るばかりだが、感情が溢れ出してしまわぬように唇をギュッと噛んだ。

『・・・っ質問に、こたえて下さい、』

私は、下を俯いていう。

その赤い髪の男は、また盛大に笑い出す。

チラチラ見ていると、パチリと目があった。

そして、急に笑うのをやめたかと思えば、此方を見てニヤリと笑った。

ゾワっと身体中に鳥肌がたったことが嫌でもわかった。

⁇「いいね、最高や！」

『っは・・・！？』

思わず、顔を上げる。

すると、綺麗な顔だちの青年がいた。

殺人鬼とは思えないくらい、爽やかで、甘い笑顔。

私以外の普通の人なら、コロッとおちてしまうだろう。

⁇「君、1人で百面相してどしたん？」

ヘラヘラと笑いながら、赤い髪の男は、言う。

『・・・っ質問を重ねないで下さい、』

キッと、私は彼を睨む。

まぁ、私も私だ。

殺人鬼に名前を聞いても、答えてくれないのは、普通なのだろう。

何故ならば、名前を言ってしまったことで、足がついてしまってはいけないからだ。

まぁ、言ったらただのあほだな。

ここで言うなんてー、

⁇「あー、ごめんなぁ！俺はなぁ、坂田や！」

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正真正銘のあほだ。

わたしは思わず、目を大きく見開いた。

『ぁ、えっと、坂、田さん？何故私は、此処に居るのですか？』

坂「その前にっ！君名前は？」

犬の様に人懐っこい笑顔で笑う坂田さん。

私は、頭の中がぐるぐると回っていた。

この人を信用してもいいのか。

坂「どしたん？君、名前ないん？」

ひょっこりと、私を覗き込む坂田さん。

『私、はー・・・』

私は、軽く目を瞑った。

『月崎といいます』

坂田さんが思いっきり目を見開いたのが、視界の端に見えた。

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