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一斉に振り向くと、まだ濡れている髪を拭きながら壁に寄りかかっているAが居た。
『そんなに気になるなら聞いてみなよ。』
冷たくも、どこか悲しそうな、そんな目で見つめる。
が、その目の色はすぐに変わった。
『…っ、!』
顔を真っ青にして口を手で覆う。
と、同時に白いアネモネの花弁が指の間をすり抜けてカーペットの上に次々と落ちていく。
その花を見て、思わず手を伸ばした。
こ「さとみくん!?」
『っ駄目…!』
次目を開けた時、俺の手にはAが今ここで吐いた花。
そして唇に花弁が触れていた。
『なにやってる…の…?』
みんなの視線が俺に注がれる。
さ「ころんから話は聞いたよ。
一か八か。俺にAが治せるのか治せないのか。
試そうと思って。」
感染方法は素手で触れること、もっと確率を挙げるには口などに触れること。
そしてもし感染した人に心から愛する、愛して愛して仕方ない人が居るのなら、1時間以内に花を吐く。
想っている人が同じなら、同じ色と種類の花を。
…
さ「…っ…!」
20分ぐらい経った時だろうか。
みんなの注目を浴びながら、俺は初めての花を吐いた。
こ「…白い……。」
『アネモネ…。』
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作者名:sky | 作成日時:2019年1月21日 19時