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Aside
目が覚めた時にはもう空が赤くなりかけていた。
リビングのソファで寝ていたはずが、いつの間にか自分のベッドにいる。
『私迷惑かけてばっかじゃん…』
そう独り言を言いながら重い体を起こす。
少し開いた窓から入ってきた潮風でカーテンが優しく揺れた。
その拍子にバルコニーに人影が見えた。
それが誰かは考えなくても分かった。
ふと、その人影から歌が聞こえてきた。
私の、大好きな歌。
「透き通る海で泳ぐ君の姿はまるで」
『人魚のようだった』
同行者の友達の歌。
気付いたら続けて歌っていた。
人影の横に立つ。
『…私、治る可能性多分ないと思う。
相手が相手だしね…。』
私にしてはこんな気弱なのは珍しい。
だからか、ころんはゆっくりこちらを向いて私の目を見た。
あ、ころんのことだから私が寝てる間に調べ上げてると思ったから。病気のことは一切説明せずに打ち明けた。
こ「…A。あのさ、僕…、」
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作者名:sky | 作成日時:2019年1月21日 19時