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「あれ」
いつも通り、ベルがなって
『来ちゃった』って、微笑むお兄ちゃん
今度そっち行くから、って連絡はあったからそこまで驚かない
「ほんとに、夜遅いんだね、こんなん肌荒れちゃうよ」
Aは、女の子なんだからって呟いて、珍しそうに店をぐるっと見回すオッパは、いつしかの彼と重なって
「何がおすすめなの?」
そう言いながら、カウンター席に座って、ネクタイを緩める
「えぇ〜なんだろ、じゃ、これ」
「これウーロン茶な、お前適当すぎ」
上京してから、オッパ含め家族に会う機会は年に数回程度だから、少し大人びたオッパを見ると変な気持ちになる
お酒が弱いオッパ用に、度数の低い甘めのお酒を提供すると、
『よくわかんないけど、美味しいとおもう。知らんけど』って
「今日泊まってくの?」
「や、今日はホテルに泊まる。」
これAの家置いといてよ、って渡されたのは服やら洗面用具やらが入った小さな黒のナップザック
また、泊まりに行くことになったとき用らしい。今渡すのか!!とツッコミたくなったけど
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お兄ちゃんが帰って、しばらくすると、また鳴るベル
少し眠くてウトウトしていた私は、とりあえず、いらっしゃいませ、と入ってきた人相手に呟く
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『すんごい眠そうですね、ヌナ』
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耳を擽るような、甘い声と、睡魔に襲われていたこともあり、これは夢なんじゃないか、そう思った
だけど、全身真っ黒の格好をした彼はそこに立っていて
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作者名:ましろ。 | 作成日時:2022年7月1日 19時