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「これ」
差し出されたのは……缶のミルクティーだった。
「……ありがとう」
「練習、きっちり二時間やるから。大分待たせちまうけど、身体冷やすなよ」
「大丈夫だよ。見るの久しぶりだし、頑張ってきてよ」
「ん、サンキュ」
それだけ言って、走って戻っていった。
……本当、優しいよね。
「……何、今の?」
「あの子、上杉くんの彼女?」
「かわいいけど誰よ?」
「あっ、知ってるよ!あの子、櫻木Aだよ」
「櫻木……って、英語の模試でいつも一番の?」
「アメリカに行ったんじゃないの?」
「だから、帰ってきたんだって」
「噂だと、上杉くんの幼なじみらしいよ」
「何それ、ずるいっ!」
「やっぱ付き合ってんのかなぁ……」
……なんか色々言われてるけど、スルーしておいていいかな。
付き合ってるって勘違いされてるような気もするけど……ここで反論するために話しかけるのはちょっとね。
ありがたく思いながら缶を開ける。
一口飲むと、甘さが身体中に染み渡った。
「早いけど、全員揃ったな。集合!」
「はい!!」
キャプテンの三年生が集合をかけて、男子たちの声が響く。
kzはこの前、春の大会が終わったばかりなんだって。
三学年いて人数も多いのに、若武や和典、黒木や美門くんは、レギュラーや準レギュラーから、外れたことがないんだ。
本当、すごいよね。
三年生は、この先の夏の大会を最後に引退になるから、チーム全体が活気づいているの。
「それでは、サッカーチームkzの練習を始める!礼!」
「お願いします!」
やる気の入った声。
フェンスの向こう側の緩かった雰囲気が、一気に引き締まったのがわかる。
からだほぐしのトレーニングから、基礎練習、実践練習と、様々な形で練習は進められていった。
久しぶりに見られた、みんながサッカーをする姿。
美門くんにいたっては初めてだけどね。
三年生にも勝るみんなのサッカーセンス。
でも、センスだけじゃなくて、それに見合う努力を積んでいるからこそ、活躍できているんだよね。
やっぱり尊敬する……。
時間はあっという間に過ぎてしまい、今日の練習のラスト、短い試合形式、ミニゲームをやる時間になったの。
コーチと思われる男性から、チームの指定がされる。
若武と和典はAチーム。
黒木と美門くんはBチームだった。
ホイッスルが鳴らされ、本格的な雰囲気で、ミニゲームが始まった。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時