昨日のこと【彩】 ページ37
あの事件の次の日。
学校に早く来て、私は教室で予習をしていたの。
今日の時間割は数学がないから、ちょっぴり気が楽なんだ。
教室には私のほかに、二人しか来ていない。
クラスでもあまり目立たない、大人しい方の人たち。
二人で机を寄せ合って会話しながら宿題をしているみたいだった。
そこに、ちょうどやってきたのは、制服姿のAちゃん。
私に気づくと、鞄を背負ったまま、こちらに寄ってきたんだ。
「おはよ、彩ちゃん」
「おはよう。今日は朝練ないの？」
いつもならこの時間は、バスケ部が朝練をしてるはず。
翼とAちゃんを含んだクラスのバスケ部員は、いつもホームルームの直前に教室に来るんだ。
「この前のゴールデンウィーク部活詰めだったから、その分今週は朝練なしってことになったんだ。昼と放課後はあるけどね」
朝練なくても昼も放課後もやっていたら疲れちゃうよね、大変だなぁ。
「昨日はちゃんと休めた？」
あんなことになったから、心配だったんだ。
「……大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「誘拐されてたんだもの、トラウマみたいにならなければいいなって思ってたの」
私がそう言うと、
「っ…………うん」
と、Aちゃんはなんだか曖昧な返事をしたの。
顔は微笑んでいるけれど、なんとなくつくっている感じ。
私、変なこと言ったかな……？
不安になってしまったの。
「……あ、そういえばね」
と、話題を変えられた。
「若武から集合の連絡があったよ。昨日のこともあったし、和典と黒木が事情聴取も行ってくれたから、その報告会だって」
わぁ、また集まれるんだ！
内容的に喜ぶのはちょっと失礼だけど、素直に嬉しかった。
「今日はサッカーkzの練習らしいから、その前だって。秀明の休み時間に、カフェテリアね」
「うん。教えてくれてありがとう」
お礼を言うとAちゃんは、支度をしに自分の机に向かっていった。
さっき……様子がおかしいように見えたのは、私の気のせいかな。
私が何か気にさわることでも言っちゃったとか？
いろいろ考えながら、さっきの会話を思い出してみたの。
うーん、何だろう。
「アーヤおはよ」
「…………」
「アーヤ？」
「え？……あ、翼」
気づくと目の前に、翼が来ていたの。
驚いた私を見て、クスッと笑った翼。
……やっぱり綺麗、なんて思ってしまったの。
「無視するなんて、誰のこと考え込んでたの？」
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (
レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます！楽しみです！これからも、頑張って下さいね！ (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです！夏編も楽しみにしてます！！ (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます！春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都 | 作成日時：2018年8月10日 9時
