2 ページ32
「俺は、別にお嬢ちゃんたちの命がほしい訳じゃないんだ。あの子供がいなくなれば、それでいい。まぁ、お嬢ちゃんの方は巻き込まれる羽目になって、かわいそうだけどねぇ」
そう言って声をあげて笑う男に、私も怒りが湧いてきた。
「くっそ……小塚、アーヤとその子供、見とけよ」
その若武の声を聞いて、男子四人が戦闘体制に。
「おっと、君たちがその気なら……」
男が取り出したのは、Aちゃんを脅すのに使っていた、あのナイフだった。
それを見た四人。
でも、怯むこともなく次々に男に飛びかかる。
「アーヤ、奈緒ちゃん、こっちだ」
小塚くんに連れられ、三人で建物の裏に身を隠したの。
そこからそっと顔を出して、みんなの様子を見ていたんだ。
男はそれなりに強くて、ナイフも振り回していたからハラハラした。
それでもやっぱりみんなは強くて、人数で勝っていたこともあって、あっけなく男は膝を着いたんだ。
上杉くんと黒木くんがふたり二人がかりで押さえつけ、男の動きを封じた。
ふと気づくと、隣では小塚くんが、操作していたスマートフォンをしまうところだった。
「警察に連絡したよ」
小塚くんは、戦うことができなくても、ちゃんと自分の役割を考えているんだよね。
そういうのって、チームの私たちにとってすごく大事なことだと思う。
その後、頃合いを見計らって、私たち三人もみんなのもとへ戻ったんだ。
「さて、と」
若武が息をつく。
「捕まえたはいいけど、鍵壊されちまったしなぁ……この扉壊せそうにねーし、どうすっか」
「警察来るのを待つか……?」
「……美門、ちょい、ここ代わってくれ」
「ん」
黒木くんとともに、男を取り押さえていた上杉くんが、翼に声をかけた。
黒木くんは十分強いけど、男が反抗したら困るから、二人がかりで押さえることを選んだみたい。
それで翼は、上杉くんと場所を代わったの。
手が空いた上杉くんは、ポケットに入っていた財布からあるものを取り出したんだ。
「おい、それ……」
「そんなの持ち歩いてたのかよ!物騒だな」
「うるせーな。結果的オーライ、ってことだ」
若武が騒ぐのにそう反論しながら、上杉くんが持ち出したのは……「万能キーオープン」だった。
傘のホネを改造して作ったもの。
今までの調査にも何度も役に立ってたし、探偵チームの私たちにはとっても便利なものなんだけど……まさか持ち歩いてたなんて。
◇ ◇ ◇
↓作者のひとりごと表示、始めました。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
102人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時