春は新たな出会いの季節【探偵チームkz事件ノート】

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翼が転校してきたとき、そのオールマイティーな姿から生まれたのが、「タスクヒーロー伝説」だった。

もう大分前の話だけれど、今日、クラスの誰もがそれを思い出したと思う。

なぜなら今日一日で、「Aヒロイン伝説」なるものが生まれたからだった。

その理由となることは三つある。


一つ目は、運動神経の良さ。

今日の体育はバスケだったの。
翼を中心としたバスケ部男子たちが、隣のコートで活躍するのを、キャーキャー言う女子っていうのが今までの構図だった。

でも今日はちょっと違って……。
男子も女子も、櫻木さんに夢中！
すごくバスケが上手だったんだ。

私たちとは格が違って、シュートはほとんど外さないし、体力もすごかった。

ポニーテールの髪が揺れて、すごくかっこよかったの。


「Aちゃん、バスケ習ってたの？」
「えっと、お兄ちゃんがバスケ部だったから、教えてもらってた」

「バスケ部入りなよ！」
「うん、そのつもり」


本人は「バスケだけで、他の運動はまったく」なんて言ってるけど、絶対そんなことないと思うな……。


二つ目は、薫先生も絶賛の英語の能力。

英語の時間、抜き打ちの小テストがあったの。結構難しくて、それでも私は国語の次に得意な科目だから、三問間違いだった。

みんなが苦戦していたそれを、櫻木さんは、オールクリアしたんだ。
みんなびっくり！
その後の英語の授業でも大活躍で、ただただ凄かった。


ただ、翼と違うところももちろんあって……。

櫻木さんは全教科トップに立つようなタイプじゃない。
要するに、翼みたいなオールラウンダーじゃなくて、上杉くんや小塚くんのようなタイプだということ。

英語はきっと学年トップクラスだけど、本人は理社が苦手って言っていた。
授業を見ている限り、理科は普通にできるように見えたけれど、社会の授業は特に静かだった。

なんというか、それ以外の授業は自分の知恵を存分に出して成長してるんだけど、社会の授業は先生が話すことを聞いて理解することに集中している感じ。

そんな姿も真面目な櫻木さんの性格が見えてきて、みんなの好感を誘っていた。


ただ、やっぱり。
一躍クラスのヒロインとなった櫻木さんを、悪く思う女子もいた。

翼のように男の子だったらそんなことはないんだけれどね。

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作者のひとりごと(随時更新)

春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！

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