春は新たな出会いの季節【探偵チームkz事件ノート】

秘密基地【上杉】 ページ30

土の秘密基地。

そう聞いたとき、その言葉があの場所を表していることに気がついた。


「わかった」

「……え？」

「土の秘密基地だろ？だったらあそこだ」


そう言い終わる前に、体が動いていた。


『土の秘密基地』

Aを連れていった男は、もう一人の子供を「倉庫に隠した」って言ったらしい。
倉庫があって、土の秘密基地といえば……あの工場しかねぇだろ。


昔使われていた、製土所。

今はもうつぶれちまって使われていない建物だけど、管理が行き届いていないために、誰でも無断で侵入できる。

それに加えて、地面には土が広がったままで放置されてるんだ。


まだ俺が幼かった頃、よくAと町を探索して遊んでた。
その時見つけたこの廃工場が、俺たちの秘密基地だったんだ。
そこに入り浸ってたんだよな。

そんな特別な場所を町の中でいくつか決めて、全部を秘密基地と呼んでいたけど、土といったらそこしかない。


きっとAはそこにいる。

俺は全力で走ったんだ。


間に合ってくれ、Aがもし無事じゃなかったら……。


俺は、約束を破ることになる。

あの日、自分で決めた約束を。

同時に、俺を信じてくれている人たちを裏切ることになる。

それだけは絶対したくねーんだ。



◇ ◇ ◇

あれ、短い……？

最後のセリフ四行。
上杉くんは一体何を言っているのでしょうか。

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作者のひとりごと(随時更新)

春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！

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