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「んじゃ、行くぞ」
若武を先頭にみんなで自転車を漕ぎ始めた。
風が頬を掠めて、すごく気持ちがいい。
しばらく行ったところで、なぜかいきなり、若武がブレーキをかけたんだ。
「ちょっと……！危ないってば」
「おい、後ろ着いてんだから、危険なことすんじゃねー」
周りの声もお構いなしに、若武の視線は一点に集中している。
そちらの方を見ると……あるのは小さな交番。
そこに立っているのは、若い男性のお巡りさんと、一人の外国人だった。
アジア系の外国人は地図を持っていて、何やら話しかけているけれど、お巡りさんの方はその言葉がわからないみたい。
そうやって、私が状況を理解したときには、もう彼女が動いていた。
そう、Aちゃん。
「失礼しますね」
お巡りさんにそう声をかけて、外国人と簡単に言葉を交わしたあと、地図を受け取って指で示していた。
外国人も聞きたいことがわかったようで、最後は笑顔を見せながら、Aちゃんとお巡りさんに挨拶をして去っていった。
お巡りさんも安心した表情で、Aちゃんに頭を下げていて、お礼を言って戻っていった。
帰ってきたAちゃん。
「さすがだな、A」
「久しぶりに話してるの見たけど、やっぱりすごいよ」
「今の、中国人？」
「ん。駅までの道を知りたかったんだって」
何てことないように言って、再び自転車にまたがるAちゃん。
私はすごく感動してたんだ。
「Aの実力、わかっただろ？」
まるで自分のことのように、自慢気に私と翼を見てくる若武。
そっか、そのために自転車を止めたんだね。
うん、よくわかったよ。
その後、再び自転車を漕ぎ始め、私たちは進んだ。
車通りのない、少し開けた道に出たところで、私はAちゃんの隣に並んだんだ。
「Aちゃん、中国語もわかるんだね」
黒木くんから聞いてはいたけれど、それを目の当たりにすると、やっぱりすごいと思った。
「どうしてそんなに覚えられるの？」
「大したことないよ。言葉を覚えるの、楽しいんだ。好きだから、いつの間にか身についたの」
笑っているAちゃん。
いつの間にかってところが、私にはもう信じられない……。
「彩ちゃんだって、フランス語話せるんでしょ？」
「え？どうして知ってるの？」
「この前、和典から聞いたんだ」
Aちゃんの口から、聞き慣れない「和典」という名前が出てきて、つい反応してしまった。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (
レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます！楽しみです！これからも、頑張って下さいね！ (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます！とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです！夏編も楽しみにしてます！！ (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます！春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都 | 作成日時：2018年8月10日 9時
