春は新たな出会いの季節【探偵チームkz事件ノート】

久しぶりの帰り道【夢主】 ページ17

「…………」

「何でそんなにふて腐れてるの？」
「うるせ」


不機嫌な和典。
二人で帰ることを提案したのはそっちなのに。
無言の和典が面白くて、思わずクスクスと笑ってしまった。


「……どうして帰ってくること、俺に知らせてくれなかった？」
「さっきも言ったでしょ？つまらないからって」

「それなら、どうして黒木には言ったんだ」
「黒木には、言わなくても情報がまわっちゃうこと、わかってたもん」


ああ言えばこう言う。
まさにそんな状態の私に、和典は機嫌をさらに悪くしたようだった。
まぁ、そんなことで気を使うような私じゃないんだけどね。


「あ、寂しかったんだ？」
「……何でそうなるんだ」


ふふ、素直じゃないんだから。
一年前と変わらない幼なじみの姿に、どこか安心する自分がいた。


「まさかみんなが探偵チーム作ってるなんて、想像もしてなかったよ」
「若武のわがままから始まったことだけどな」
「でも、新しいメンバーもいて楽しそうに見えたよ。……ひとつ確認しておきたいんだけど」
「なんだよ」


そう言うと和典は、私の方に視線を向けた。


「あの二人の前で、名前で呼んでもいい？」
「……別にいい」
「そっか」


これは、ずっと前からあるルールのことだった。

小学校より前からよく一緒にいた私たちは、お互いに「A」「和典」と、名前で呼びあっていた。

でも、小学校の中学年頃だったかな。

名前で呼びあうことが、なんとなく恥ずかしくて、学校や人前では名字で呼ぶようになった。

名前で呼びあえるのは、信用してる人たちの前だけ。
そんな暗黙のルールのようなものが、いつの間にかできていたんだ。


でも、あの二人の前で名前で呼んでいいってことは、美門くんと立花さんを信用してるってことだよね。

信頼しあえるチーム。
すごく素敵だと思う。


「みんな立花さんのこと、アーヤって呼んでたけど、和典もそうなの？」
「いや、俺は立花って」

「私のこと名前で呼んだら、何か思われないかな？和典そういうの気にするでしょ」
「別に。アイツら今頃、俺たちのこと話してるだろうからな」


つまり、幼なじみという関係も知られてるってことだね。


その後、二人で他愛もない会話をしていると、段々と家が近づいてきた。
ふと見ると、うちの玄関の前に人影があったの。


「誰だ？」
「さぁ……不審者とか？」
「……お前、そんな物騒なこと平気な顔で言うなよ」


そこにいたのは……

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作者のひとりごと(随時更新)

春編お付き合いありがとうございました！夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう！

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