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「そんなんだから、他塾に生徒とられんだよ」
上杉くんが呆れたように言った。
秀明はこのあたりで一番大きくてレベルが高く、生徒数も多い塾っていわれてるから、余裕と思ってるところはあるのかもしれない。
でも最近、他の塾に移ってしまう生徒が多いのは事実だと思う。
「お前ら、秀明やめんなよ。kzの活動に支障が出るからな」
「……それは、誰も約束できないと思うよ」
そう言ったのは翼。
だけど、その隣で上杉くんも頷いていた。
「何だと?」
「自分にもっと合うところがあれば行くかもね。まぁ、当分ないだろうけど」
「秀明は最近調子乗ってるからな。新しいところができたら考える」
私は正直、そういう考えもアリだと思った。
学生の本分は勉強だもの。
でも私自身は、塾を変えることはないと思うな。
みんなみたいに柔軟じゃないから、環境が変わったら着いていけなくなってしまいそう……。
「ま、今のところは考えてないけどな」
「お前らな……やめたら除名だかんな!」
若武の言葉にムッとした私。
つい言ってしまった。
「それはおかしいよ」
「なんだよアーヤ」
「どこの塾を選ぼうと、個人の自由でしょ。私たち六人、一人ひとりの力があって、kzは成り立ってるんだから。そんな簡単に除名なんて言わないで!」
自分でも驚くほど必死だった気がする。
そんな私の様子に翼はちょっと笑いながら口を開いた。
「アーヤの言う通りじゃない?他に、アーヤの意見に賛成する奴は?」
若武以外の全員が手を挙げる。
若武は不貞腐れたように言った。
「わかってるよ……つい言っちまっただけだ」
ショボンとする若武。
子供みたいでちょっと可愛いかも……。
こんなこと本人に言ったら怒られるだろうけど。
「まぁ、アーヤの言葉をちょっと訂正させてもらうなら」
そう言ったのは黒木くん。
訂正?
黒木くんも賛成してくれたのに?
「六人じゃなくて、七人になるかもしれないけどね」
「……どういうこと?」
「もうすぐわかるさ」
「黒木、さっきからそれしか言ってないよ……」
そのときだった。
コンコンと、ノックの音が聞こえたのは。
「ほら来た」
「……誰だ?」
「入っていいよ」
黒木くんがそう促すと、扉が開かれた。
「……失礼します」
……入ってきた人を見て、私は目を見開いたんだ。
作者のひとりごと(随時更新)
春編お付き合いありがとうございました!夏編は私が書きたかったお話てんこ盛りなので、なかなかまとまらずに苦戦中です……。気長にお待ちいただければ有り難く思います。それでは続編でお会いしましょう!
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奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとやる気が出ます。師走の忙しい時期ですが、とにかく公開だけはしようと思っているのでお待ちください。 (2018年12月9日 21時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - 12月15日、絶対に夏編見ます!楽しみです!これからも、頑張って下さいね! (2018年12月7日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 涼宮美桜さん» ありがとうございます!とても嬉しいです。夏編がなかなか書き進まず、公開は遅くなってしまいそうなのですが、必ず完成させるのでもうしばらくお待ちいただければ嬉しく思います。 (2018年11月6日 22時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
涼宮美桜 - とっても面白かったです!夏編も楽しみにしてます!! (2018年11月5日 16時) (レス) id: 73c1c90619 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 志恵さん» コメントありがとうございます!春編まではとりあえず早めに更新できそうなので、頑張って進めたいと思っています。これからも読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。 (2018年9月30日 10時) (レス) id: 98247bbc9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2018年8月10日 9時