2話 ページ2
その後、僕はなんとかまた列に並び
パンを買った。
ふぅ…疲れた…
少しだけ気持ち悪かったが
吐かなくて良かったと思った。
あの場で吐いてしまったら
僕の人生…終わってたかもしれない。
____昼休みが終わる
午後の授業は凄く眠たくなる。
僕はなんとか眠気に耐えながらも
授業に集中する。
____さっきから彼女の顔が頭から
離れない。
「これじゃあ、集中出来ないよ…」
僕はそう呟いた。
そしてその声は、担任の教師の声に
かき消された。
ある意味良かったのかもしれない。
僕はあまり目立ちたくないから。
彼女…何年生なのかな…
先輩かな…
だとしたら、凄く迷惑をかけてしまったかもしれない。
僕なんかに心配をかけてしまった。
僕は親からも心配をされない。
というか、僕の存在自体も
気づいているのか、くらい。
ご飯は一緒に食べていない。
増してや、話してもいない。
親は共働きで、いつも家にいない。
いたとしても、もう僕は寝ているし
親が帰ってくるのは真夜中だ。
そんなこんな考えていたら
もう放課後に近づいていた。
HRが終わり、僕は教室を出る。
彼女に、また会えないかな…
そんな期待をしながら下駄箱へ向かう。
「あ…」
運が悪いことに、雨が降り出してきた。
期待したのがいけなかったのだろうか…
そんな事を思い、靴を履く。
ギィー、バダンッ
本当にここの中学校の扉は
五月蝿い。
普通こんな音、どうにかしないと出ないと思う。
そんな音を出す。
「あ、そういえば傘忘れたんだった。」
今日は不幸なことがありすぎて
自分の運の無さに呆れつつ
一歩一歩歩き出す。
「あの!」
ん?
後ろから声が聞こえた。
僕はその聞き覚えのある声の方へ
体を向けた。
それは、やはりあの彼女だった。
運があるのか無いのか分からない1日だな…
「あ、えっと、傘、無いようなら
私のに入って?」
「え、でも…だ、大丈夫です!」
こんな僕でも、一応は男…なんだし。
ちょっと、立場が…ね?
「遠慮しないで!そのままだったら
風邪引いちゃうし!ね?入って!」
確かに、風邪引いたら引いたで
めんどくさいことになるし…
それに、こんなチャンス滅多にないと
思うし!
「じゃあ、お言葉に甘えて…いいですか?」
僕はこのチャンスを逃すまいと
勇気を振り絞って、言った。
「うん!甘えて!」
「!!」
君の笑顔は、やっぱり何処かで知っている。
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作者名:柊 梓 | 作成日時:2016年6月16日 22時