紙飛行機

紙飛行機 9 ページ9

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「なんなの？」





何が震えてるのかわからないほどに

何もかも全部が震えて


流れる沈黙も

気流が乱れてるような気がした。






そうして

私の口からやっとのことで絞り出た



かすっかすの声。













「…………き、なん…す」








「は？」









「私…よこ、くんが……好き、なんです…」













ごめんなさい




好きなんです……









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合格発表の日


自分の受験番号見つけたときは

嬉しかったな





体育祭前日にものもらいが悪化して

眼帯での出場は

距離感うまく測れなくて大変だった





文化祭で発表した書道の個人作品

私なりに精一杯頑張ったよね









あぁ



走馬灯って

こんな風に流れるんだ








自分のバカさ加減に

とうとう涙があふれてきた。








こんな地味な女に

呪いのようなまじないかけられて



今横尾くんは

どんな気持ちだろう











「いたー！！Aどした？美咲ちゃんたちビックリしてたよ！？」








キンと耳に響く大きな声。







なっちゃん……









「な……なに？なんで泣いてんの！？」


「……っく…」









私ね

なっちゃんが羨ましかった




横尾って気軽に呼べることも


他愛ないお喋りできることも


罰ゲームやって遊べることも







でも

そんなことより何より



彼と対等であることが





羨ましかったの









あんなおまじない

しなければよかった……









「あんた何言ったの！？」


「は？別になんも言ってねぇし」


「何も言ってないでAがこんな泣くわけないでしょーが！」







なっちゃんが

横尾くんに食ってかかる。







なっちゃんごめんね

ありがとう





横尾くん

ごめんなさい






気持ち悪いことして


ごめんなさい









「……なっちゃ、ごめっ……、とりあえず、今日は帰

「いいけど」









かぶさる。

彼の低い声。













「付き合ってやってもいいけど」













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地球がひっくり返るほどの爆弾

平然と放り投げて


混乱するなっちゃんと私の横通り過ぎると

さっさと靴履き替えて

昇降口から出て行く。






右手には薄っぺらいカバン。








あぁ

今日は四時間目までだ……








なんて

いつもの癖で



そんなこと思いながら

眼鏡のレンズに付いた涙のせいで

かすむ彼の背中




ぼんやりと、見送った。




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