紙飛行機

紙飛行機 29 ページ29

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『メール見たよ〜！！やったじゃん！！頑張ったねー！すごいすごい！！』







背中を押してくれたなっちゃんに

どうしても一番に伝えたくて


つい最近交換したばかりのアドレスへ

初めてメールを送ったら



すぐに電話をくれた。







「ありがとう」







そんなとき

電話の向こう側から人のざわめき。







「電話大丈夫？」


『あーごめんごめん。うっさいよねー。ちょっと待って！！』








報告したかっただけだからって

そう言いかけたときには


もう騒ぎ声は遠のいて。




『で？どこ行くの？』なんて

質疑応答の時間を設けられる。











「…まだ詳しくは何も。誘ったはいいけど、どうしていいか分からなくて…」








ましてやあの横尾くん相手に…



クリスマスデートって

普通は何するの？








『なーんか喜び薄いなーって思ったら、次はそんなこと悩んでんのかっ！』








なっちゃんの呆れ声の果てには


夕雲のような

優しさと愛情が漂っていて


太陽の落ちた胸の中に

安心感が広がっていくの。







妹しかいないから分からないけど


お姉ちゃんって

こんな感じなのかな？








「……ほんと、バカみたい」








ハードル走みたいに

ひとつ跳び越えられたかと思えばまたひとつ


立ち並ぶ不安にぶつかっては

無様に立ち止まってしまう。





きっと他の人なら

軽々と跳び越えられるような

水たまり程度のそれも


跳び方すらわからない。









『別に普通は…なんて考えないで、Aと横尾のデートをすりゃいんじゃない？』



「…うん。でもね、基礎知識がないから、アレンジを効かせることもできないし…隠し味だって何を隠せばいいのか見当つかないの。ましてや、オリジナルなんて…」







お料理の苦手な人ほど

レシピに忠実になってしまう。





それを聞いたなっちゃんは

なんか上手い！って、笑った。







『ん〜……じゃあさ、Aが横尾と一緒にしたいことは？なに？』








私が

横尾くんとしたいこと…かぁ







「一緒ににいれるだけで、なんか…もう…」


『ふふっ。まぁねぇ』


「でも…ね」


『うん？』


「もしひとつだけ贅沢を言えるなら…」








今ではあまり見ることのない



赤、青、緑、黄

チカチカと輝くカラフルな光が


懐かしさと共に蘇る。











「幸せの色を、見てみたい」









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