紙飛行機

紙飛行機 11 ページ11

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自宅最寄駅から電車に乗って

高校最寄駅で下車。


そこから学校まで、一人歩く。




今までとなにも変わらない日常の一コマに

ここ三日、"寝不足"というプラスα。






止まらないあくび何度もかみ殺す。



そのたびに目尻に滲む涙を

眼鏡上げて指先で拭った。






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「A〜！！！おーはよ〜！」







三日ぶりに聞こえる元気な声に

ほっと胸をなでおろす。






「なっちゃん！体調大丈夫？」


「大丈夫〜！なぁんか早起き、癖になっちゃったみたい」







あの翌日から体調を崩したらしく

なっちゃんは学校休んでて。



元気そうでよかった。







「てか、あれからどうよ？気になってはいたんだけどさぁー。横尾からちゃんと連絡きてる？」





自転車から降りて肩並べる。





「ま、まさか！！！だって、連絡先、知らないし」





首を左右にぶんぶんと振った。





「はぁ！？マジで？連絡先知らない彼氏と彼女なんて聞いたことないわ！！！」






彼氏と…彼女……かぁ







「学校では？話してないの？」


「……うん」





それどころか

目すら合ってない。







「んぁー！！横尾はどうするつもりなんだろー？」







艶やかな唇クッて突き出して

嘆きながら空を仰ぐなっちゃん。




反対に

ローファーの先見つめる私。






夜な夜な

いくら眠眠を打破して考えても

たくさんのクマを目の下に飼っても



導き出せない答え。









私





横尾くんの


……彼女、なの？










考えて考えて考えて


一滴でもいいから絞り出したいと

願った自信や勇気は



一滴たりとも

落ちてはこなかった。








「私から横尾に聞いてみようか？」








ありがとう



でも…








「ううん。大丈夫。もう、いいの」








横尾くんに

好きって言えた





なっちゃんが

頑張ったねって言ってくれた






もう

それだけで



十分だよ













「Aさ、今日部活は？」


「今日はお休みだけど…」







「よし！じゃあ放課後作戦会議しよっ！」







ニカっと笑うなっちゃん。

可愛らしく覗く片方だけの八重歯。







「えっと…作戦会議って……」


「あっ！！！ごめ、さっちんから連絡。ちょっと先行くね〜。また後でー！」







その勢いに戸惑いながらも


なっちゃんの笑顔に

私も自然と、笑顔になれたの。







いつもの日常にもうひとつ。



素敵なプラスα

もらえた。




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