恋の花（2）

＊花 75＊ ページ27

一瞬
何が起きたのかわかんなかった。




感じる温かさが

血流より速く全身にまわる。












そんなにぎゅって握ったら

震えてるの



バレちゃうよ。









「はは、これか。ミツが言ってやつ！

ほんとだ、すげぇまん丸。」







ゆっくり振り向き

彼の目線たどる。






「こんな爪でよく缶開けられたね。

でも、うん、佐藤さんって感じ。」







不自然な角度で固まった腕。

疲労と緊張でさらに震えた。









「あ…ごめ。」




その振動を感じてか、パッと手を離す。








引っ張られたわけでもなんでもないのに

もう手は離されたのに



吸い寄せられるように

体がソファにすとんと沈んだ。









ひざを抱えながら

ジッと自分の爪をみる。





オシャレのかけらもない
幼稚園生みたいなそれが


なんだか急に宝物みたく思えて


互いの手のひらでそっと包んだ。














「ん？寒い？」





ふわっと顔あげると

軽く覗きこむ彼の顔。




その距離に息がとまる。













「でも…顔は、赤い？」




細く長い指の背で

私の頬にそっと





触れた。

















ねぇ横尾くん…


これはわざとなの？














ぽんぽんと
まるでポップコーンみたく

熱く


次から次へとはじけ飛ぶ

私の想い。







ひとつひとつ

好きが増えてく。








溢れかえる。
















交わす視線は

甘ったるいキャラメルの匂い…
















「…うわ！！ごごごごめん！！！！！！！！」





慌てて手引っ込めた。




目まん丸にさせて

自分で自分の行動に心底驚いてる。









あー焦ったぁ〜って


前髪とか

鼻とか

おでことか


わちゃわちゃ触る。








あんまり横尾くんが焦るから

逆にちょっとだけ落ち着き取り戻して



クスクスとその様子眺めてた。









とにかく慌てるだけ慌てると


静かに目つぶって

ふぅーって大きく息を吐き



私に向けた顔は、満面の照れ笑い。














きゅーって

締め付けられる胸。




それは
息もできないほどの強さで

思わず胸元に手あてる。










神様どうしよう。





終われるどころか




一秒ごとに

もっと好きになる。



















花びらが

優しいそよ風に



また 揺れる

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