恋の花（2）

＊花 70＊ ページ22

「渉ー！！来ちゃった！」



「Aー！！来ちゃった！」





さらに鼻にかけた声で
りさちゃんの真似するのは

もちろん北山くん。






「二人とも、来ちゃった！じゃねぇよ。
班のやつらは？」




「ん？ちょっと抜けるねって言ってきたの！

太輔わかる？
高校生カップルが旅行なんてなかなかできないんだから！気分味わいたいの！

ね？Aちゃん、えりちゃん、ちょっとだけいいかな？」




そう言いながら
横尾くんの腕に手を回すりさちゃん。






「でもおたくら、旅行はなかなか行けなくてもどうせお泊まりはしょっ中してんでしょ〜！？笑

りさ、この前横尾さんの前でスッピ…


「北山！！！！！！！！」







大きな声。

太輔が遮る。





さっきまでの楽しい空気が一変した。







えりがすっごく心配そうにこちらを見る。







ここで嫌な顔しちゃダメ。






…でも、ごめん無理。

こんな話し
さすがに聞けない。



聞きたくない。







「あっ、私たち串カツ食べてくる〜！
えりも行こ？

だからりさちゃん気にしないでね！」






背を向ける。





少し先で待ってる男の子二人。

そこへ小走りで向かおうとした。







「ちょっとちょっと〜！
俺はAちゃんとこ来たんだけどー？」



北山くんごめん

聞こえないフリ。













突然肩が重くなった。






えっ！！！？！





腕が両肩から伸びてる。


耳元に響くのは
北山くんのささやく声。






「だーめ！」




そのまま回れ右された。






「やっやめて？
北山くんお願い、どいて？」




「やーだね〜！
肩も背中もちっちゃいね〜。」





私の表情が見えない北山くんは

どれほど切実にお願いしてるのか
わからないみたいで




どいてくれない。




そのまま押されるように
どんどん戻される。







ほんの少し顔を上げると

横尾くんと目が合った。



慌てて下向く。







どうしよう。





泣いたら雰囲気台無しって


涙のみこむ。










精一杯冗談っぽく言った。




「北山くん！？ほんとにもぉやめ…


「お前いい加減にしとけよ！！！！！」






怒鳴り声に近い太輔の声。


同時に肩がふわっと軽くなった。









ホッとしたのもつかの間…





ケンカになっちゃう！！


咄嗟にそう思って



バッて勢いよく後ろに顔あげると









その光景に

一瞬、時がとまったの。









北山くんの胸ぐら掴んでたの


横尾くんだった。

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