恋の花（2）

＊花 51＊ ページ3

放課後。





体育教官室前にある

今どき二層式の洗濯機。



ジャブジャブと回る

昨日洗い忘れた洗濯物。








脱水まで、今日は体育館に戻らず

それをただジッと眺める。







どんどん綺麗になっていく汚れ物に反して

どんどん重くなっていく気持ち。









自惚れ過ぎ。

冗談。

だから気にしない。




その三つを呪文のように唱え続けた。

















「Aちゃんっ！おつ！」




この声

この話し方…





「…北山くん！？！！」




「はは！ひっでぇーな！
お化けでも見たような顔しないでよ！」




お化けよりビックリした。








「今日は突然ごめんなさい。」




わざとらしく背筋をシャキッと伸ばして
腰を曲げる。




「いやね、今横尾さんを待ってんのよ。
したらAちゃん見えたから。」






周りばかり気にして
ついキョロキョロしちゃう。





「いやー、付き合っては早すぎたかなって反省したわけよ。

だからさ、とりあえず番号教えて！？
もっと仲良くなりたいんだよね。」




バツ悪そうに
右手で後頭部を引っ掻く。






突然の告白にも戸惑ったけど

手順を踏まれてもそれはそれで戸惑う。





「早く早く！横尾さん来ちゃうから！！」






ど…どうしよう。

反応がわからない。






「いっ今、携帯持ってない。」




「じゃあ書くもんある？」





言われるがまま

トレーナーの前ポケットをまさぐると
ボールペンが手に触れた。





そんな私の表情を見てクスリと笑い

手のひらを差し出す。





「書いて？アドレスも。」




逆らうこともできず
手首をそっとつかんだ。


緊張で字が震える。









「Aちゃんの手ちっちゃいね〜。
つーか、深爪しすぎじゃない？笑」





書き終え、急いで指先をぎゅっと隠した。





「こっ…子どもの頃からの癖なの。
お母さんが深爪する人で。」





「そんな爪、久々見た！笑

らしいわ。」





意外にも柔らかい表情を浮かべ

書かれた文字をジッと確認する。















「ミツ、お待たせ。」

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